そんなに面倒か?
2009年 02月 25日
最近になってというべきか、医者を20年近くやってきて、ようやく気付いた、あるいは言葉にできた。
医療を、するために最も大切なことのひとつは
”面倒がらないこと”
だと思う。
人間だから、疲れてきたり、患者やその家族からぐちゃぐちゃ言われたりしたらついつい面倒くさくなってしまう。
思うような医療や管理をしているところへ、言うことを聞かなかったり、すぐにトラブルを起こす人が入院でもしてくると、本当に嫌になる、のも分かる。
私はもう長いこと医師をしているので、医療従事者の本音が手に取るようにわかる。これは上手いことを言っているが、面倒がっているなとか、すでにうんざり来ているなとか、さまざま本当によく分かる。
いつも自分の思いどうりにやろうとすると、必ず面倒になり、皆がすこしづつ面倒がって、やがて大きな失敗をしでかす。大体、患者は他人なのだから、自分の思い通りになどならない。当たり前だ。
この当たり前の前提が間違っているから、面倒になる。
皆が、少し面倒な心を抑えて少しづつまじめにやれば、失敗はある程度防げるはず。
面倒でも、患者の話を聞く。
面倒でも、何度も患者のもとへ足を運ぶ。
面倒でも、何度も体温を測る。
忙しいといって、自分を守っていたらいつまでたってもミスは減らない。
これは、医療だけに留まらない。
多くの人は医療が自分の生活の大半を占めるのだから、いい医療をしたければ、生活を良くしなければならないのが道理。
面倒でも、部屋を掃除する。
面倒でも、食事を作る。
面倒でも、服をたたむ。
面倒がらずに自分の生活がしっかりできていなければいけない。
他人の生活は、自分の生活の延長線上にある。
日々のいい加減な生活が、いい加減な医療の元凶である。