割り切れない思い
2008年 08月 20日
現地で治療していて、本当に心から患者たちを治したいと思っていても、どうしてもうまくいかないときがある。かえって悪くしてしまう時もある。
麻酔や手術後の感染や合併症などで、時に患者が本当に悪くなるときがある。
何をしているのだろうか?
1000人助かっても、1人死んでいたならば、何のための治療かと思う。
現地の医者たちがやればもっと成績が悪いのかもしれない。
しかしそれはわれわれには関係ない。
われわれがどうあるべきかだけが問題になる。
そういえば、あるNGOの代表が、実際の医療をすると、患者が死ぬリスクがある、それを現地の人たちは迷惑に感じるのではないか?だから保健活動のほうが、リスクがないのではないか、言っていた。
私に言わせれば、保健活動は、自分との因果関係がはっきりせず、直接、人の生き死にもわからない、からあいまいになってしまうだけで、本当は人命に対して大きなリスクがあると私は思っているが、その人にはそのリスクが見えないだけなのだろう。
本当に忙しく、睡眠時間も削ってはたいているので、仕事中に眠ってしまうスタッフもいる。
それも本当に仕方ないことなのかどうか?
求められるままに治療を行い、求められるままに患者たちのために働く。
しかし、わずかにミスを犯す。
あらゆるスタッフの緩みが、細い流れのように集まって、集まって、大きな流れになるように、やがて結果となって現れ、人が傷ついてゆく。
私は、割り切れない思いで一杯なのだ。
人を傷つけようと思って、傷つけた場合は、心はそんなに痛まない。
しかし、本気で人を癒そうと思って、その結果、傷つけた、そのとき、本当に心の芯から自分も傷ついているのがわかる。