特定非営利活動法人ジャパンハート ファウンダー・最高顧問。1995年より国際協力医療活動をはじめ、ミャンマー・カンボジアなどで、これまで1万人以上の子どもたちに手術を行ってきた。


by japanheart
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一になる

一になる

 先日心停止を起こし、何とか一命を取り留めた子供が、再び痰をつめ、呼吸停止になった。
 それまでは自分で何とか呼吸できていたのだが。

 相変わらず意識が戻らない。
 待つしかない、、。
 そんな状態だった。

 緊急避難的に、気管内にチューブをいれ、大きなバッグで空気と酸素を送り込んだ。
ここは、電気事情も悪く、人工呼吸器は置いていない。あっても電圧の関係ですぐに壊れるだろう。酸素もいつも十分にない。そんな施設だ。

 子供が、自分で呼吸を再開しない。弱すぎて自力で呼吸できない。

 どうする?
 チューブを抜けば子供が死ぬ。
 どうする?

 24時間、休むことなく、日本人が交代しながら、大きなバッグで空気を送り続けることになった。
 1分に10回は空気を送る。休むことなく手でバッグを押し続けなければならない。

 私は日本での所用を済ませるため、途中、帰国の途に着いた。
 残され24時間働き続ける日本人のスタッフたちのために、せめて祈ろう。

 一人の子供の命を救う作業は、そんなに簡単ではない。
 救えるか救えないか、それは神のみぞ知る。
 しかし、弱き我々は、結果も知らず、ひたすら生への可能性に向かって進むしかない。

 どうかこの子が救われるようにと、今も祈っている。
by japanheart | 2008-08-03 12:19 | いのちの重み