一番良い選択
2007年 12月 26日
ある患者がもう長く入院している。
ひどい火傷を幼少の頃に負い、両手は胴体にくっつき、左手首は反転し、背側にくっついている。特に顔は溶け顎が無くなり首と顎がくっついている。
前回、右の腕を治し、何とか口にをもっていけるようにできた。この国の人は手で直接、ご飯を食べるので、今までは手と顔を同時にさらに突っ込むようにして食べていたが、今は普通に人のように食べれるようになった。
今まで見られなかった、笑顔が見れるようになったのもこの頃からだった。
本人は顔を次にやってもらうことを期待している。
しかし、私は次は反転してしまった左手をやりたいと考えている。
日本では考えられないことだが、おそらく、一番問題になっている顔を治してしまったら、彼女は左手を治さずに生涯、生きようとするような気がするからだ。長年、この国の人たちと付き合ってきた私には何となく分かる。
今の一番良い選択と、10年という長い目で見たときの一番は、すこしづれる。
私は確かはでなくても、10年やそれ以上で患者にとって一番の選択肢を選んでゆきたい。