子どもを救うということ-2
2007年 11月 12日
20歳代の女性で、腎不全、尿毒症の状態が続き、あとこのままでは余命いくばくもない患者が来た話の続き。
大きな手術を出来ないことから、とにかく腎不全を改善する必要があった。
腰椎麻酔のみで、側腹部を少しメスで空け左右の腎臓を突っ切って腎盂という尿管にチューブを留置して、しばらくおしっこがここから出てくるようにした。
約1月間、ののままその状態を続けた。
おしっこが正常に出だしたことで、腎機能は少しづつ改善し、正常に近づいた。
そしてお腹を開け、両方の完全に詰まった結石を取り除き、膀胱を開け尿管から膀胱を突っ切り皮膚へ貫けるチューブを挿入し、手術を終えた。
それからさらに1月後、身体に入った5本のチューブは全て抜け、無事元気に退院していた。
この女性には1歳くらいの子どもがいた。
家族は来た時おそらく多分長くは持たないだろうと思っていたと思う。それほどひどい状態だった。
この女性の子どもは、いつも病院に一緒にいて、親の状況は知る由もなく無邪気に遊んでいた。
時々、女性のベッドの下にこの子がいた。何やら物を持って遊んででいるようだった。
看護師さんたちにも愛想がいいためかとても可愛がられていた。
母親を失った子供は寂しい。ここの人たちも、麻酔の切れるころに殆どの人は、大人も子どもも「アメー、アメー(お母さん、お母さん)」無意識に叫んでいる。
この子はこれからもこの母親と共に、ずっと生きていけると思う。
この子がもうすぐ物心つく。母親の記憶をしっかりと持って生きていける。