赤い風船
そう遠くない昔、日本の子どもたちは本当にたくさん亡くなっていた。
昭和の戦前は日本人の平均寿命は45歳程度。
これは5歳以下の子ども達がかなり死んでいたということを意味する。
日本で1番大きな医療グループ徳洲会の創設者である徳田虎雄は奄美群島の徳之島で育った。
三番目の幼い弟がひどい下痢と嘔吐を起こしたため、虎雄は医者を呼びに行き懇願したが、一人目の医者は貧乏な農家には来てくれず、二人目の医者はようやく翌日昼過ぎにやってきた。その頃、弟は既に亡くなっていた。
この弟の死が、彼に狂気を与えたのだ。
そして、それが原体験となり日本中に病院を作っていく。
童謡に『シャボン玉』という歌がある。
シャボン玉飛んだ 屋根まで飛んだ
屋根まで飛んで こわれて消えた
風 風 吹くな シャボン玉飛ばそ
シャボン玉消えた 飛ばずに消えた
生まれてすぐに こわれて消えた
風 風 吹くな シャボン玉飛ばそ
これを作詞した野口雨情は長女みどりを生まれてすぐに亡くしている。この歌には、はかなく散った娘への切ない想いが込められているといわれている。
日本では多くの親や家族が本当に耐えがたい悲しみを背負ってきたのだ。
最近、YouTubeを見てたら、偶然にも私が子どもの頃に流行った懐かしい歌を発見して聴いてみた。聴いてみたら、なぜだかその歌に引き込まれ、ここ数日何度も何度もその歌を聴き、口ずさむようになった。
そして、これは偶然ではない! ということにようやく気づいた。
過去から未来へ時間が振れる。
その歌のタイトルは
『赤い風船』
歌詞は
あの娘はどこの娘 こんな夕暮れ
しっかりにぎりしめた赤い風船よ
なぜだかこの手をするりと抜けた
小さな夢がしぼむ どこか遠い空
そんなとき 誰かがほら
もうじきあの あの人が来てくれる
きっとまた 小さな夢もって
これは本当に、途上国の子ども達の事を歌っている歌だと思った。
”赤い風船”は子どもの命
”あの人”とはあなたのことだ!
あなたのことなんだ!
この歌を最近、毎日口ずさむ。
一人、一人と、私のもとに”あの人”が集い、そしてあの娘たちの赤い風船をつかみ取ってくれる人が現れることを願って。
私一人では、するりと抜けた赤い風船はどこかの遠い空に消えてしまう。
だから、あなたが医療者ならばあなたの技術や知識を貸してほしい。
あなたが学生や社会人ならば、あなたの時間や労力やネットワークを貸してほしい。
あなたが起業家ならば、あなたの持っている社会変革力の一部を分けてほしい。
あなたが普通の主婦ならば、あなたの周りの人に私たちのことを伝えてほしい。
あなたがまだ若い中学生や高校生ならば、必ず将来、私と共に働くのだと誓ってほしい。
私は必ず待っているから。
あの娘はどこの娘 こんな夕暮れ
しっかりにぎりしめた赤い風船よ
なぜだかこの手をするりと抜けた
小さな夢がしぼむ どこか遠い空
そんなとき 誰かがほら
もうじきあの あの人が来てくれる
きっとまた 小さな夢もって