特定非営利活動法人ジャパンハート ファウンダー・最高顧問。1995年より国際協力医療活動をはじめ、ミャンマー・カンボジアなどで、これまで1万人以上の子どもたちに手術を行ってきた。


by japanheart
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

変わりゆくミャンマーと変わらない私たち

 最近のミャンマーへの海外からの投資には、凄まじさを感じる。

「まだまだこれからですよ」という人もいるが、寂れていた頃を知る私としては、これでもかなり凄いと思っている。

 面白いもので、このようなことが起こると、人の心もすっかりと変化する。

ミャンマー人達は、俄然態度がでかくなり、自信も持ち始めている。

「自分たちの国は遅れている」いくらプライドが高くても、貧しい途上国だという現実を認めざるを得なかった人々が、プライドの裏返しから、すっかりとイメージを変えてしまった。特に、都会では。

 

 私達は、貧しいミャンマーで特に貧困層の人たちへ医療を提供してきた。

幸か不幸か、第2の大都市マンダレーから車で1時間程のところに私達が医療活動を行う病院が位置している。

別に悪いことをしている訳ではなく、医療を受けることのできない人たちに医療を提供している。


変わりゆくミャンマーと変わらない私たち_e0046467_17595786.jpg

一般のミャンマー人や、かつての軍政の時代の政府の人間、権威の中心である仏教僧侶達からは非常に好意的に受け取られてきた。

 当たり前?

ところがどこの世界にも、当たり前が当たり前でない人たちが存在する。


実はこの私達にとって当たり前でない人たちとは、ミャンマーでは医者と呼ばれる人たちであった。


 かつては医者がヒエラルキーの頂上だった。

しかし今は、一般の貧しいミャンマー人でもミャンマーは遅れていることは知っている。ミャンマーがどれ程遅れているか知らない人でも、日本が進んだ先進国だと知っている。だから、日本の医者に診てもらえるならば診てもらいたいのが人情というものだろう。

特に貧しい時代のミャンマーの医者たちは、金儲け主義の人も多く、政府の病院の給料が1か月1000円程度であった(まじで!)ので、彼らは毎日、午前中で公務をさっさと終了し、午後からはアルバイトへと出かけていった。おかげで患者たちは、主治医を捕まえるのがホントに大変だった。

そんな具合だから、日本の医者が治療し、日本の看護師達が一生懸命看病してくれる病院を、彼らは喜んでくれた。

 

ところが患者たちが期待すればするほどに、面白くない人たちがいた。

その人たちこそが医者”であった


 私達は現地ではマイノリティだ。弱い立場で、国籍もミャンマーではない。弱い立場の人間がいくら悪いことをしていないといっても、強い立場の人間から、あたかも悪いことをしているようにされてしまうものだ。

 ミャンマー人の医者たちからの干渉は凄いものがあった。何度も、治療をできなくされそうになった。

言いたいことは山のようにあっても、「それを言ったらおしまいよ!」の世界でマイノリティは黙っておいた方が賢明な方が多いのだ。

 

 彼らを刺激しないように極力注意しながらやって来た。

アメリカ人ならば絶対にしていないだろう。

アメリカ人ならばきっとお金の力で最新の設備を整えてやっただろう?

私達は日本の文化がバックにあり、どうしてもそれができなかった。

それはお金の問題ではなく。

患者にとっては最新の設備を使うことの方がメリットがあると理解はできても、どうしても、ミャンマーの医者達のプライドも立てなければと思ってしまうのが日本の文化なのだ。

 だから、いつもマンダレーの病院にある設備よりもランクが低い医療機器を使い続けてきた。手術用ライトも中国製で薄暗い。目が悪くなる。それでも我慢して、ミャンマー人の医者たちのコンプレックスを刺激しなかった。

 

結果、致命的となるような大きな対立も起こさず、何とか20年やって来た。

その間に治療できた患者たちの数はかなりになると思う。

喧嘩して辞めていたら、これらの成果は全てこの世から消えていただろう。

我慢して良かった。


 政府が代わり、時代が変わり、少しずつミャンマー人が自信を持ち始めている。自信を持ち始めて来ると、医者達の干渉も弱くなってきた。

海外からの支援が彼らの元にどんどん入り、最新の医療機器が当たり前に自前で持てるようになったのだ。


ふと気がつくと、私達の設備はまだ昔のままではないか!

手術用ライトも暗く、こちらが時代に取り残されたようだ。



そろそろ新しい今の時代に見合ったライトに替えてもいいかな?



そうしないと、今度は古い医療機器で治療をしているとクレームをつけられそうで。




 ____ジャパンハートから ご協力のお願い_____


のこり7日!あと49万5千円が必要です!手術用ライトを寄付するため、クラウドファンディングに挑戦しています!

「子どもたちが手術を待つミャンマーの病院に 医療ライトを届けたい」

ジャパンハートの学生団体ハーツが開始したこの挑戦。皆様のご支援のおかげでこれまでに150万5千円が集まりました。


終了まで残された時間は、あと7日。目標の200万円に対してあと49万5千円足りていない状況です。

目標金額に1円でも足りなければ、支援金全額が返金されてしまう仕組みです。


皆様に寄せていただいたご支援とお気持ちを必ずミャンマーへつなげるために、皆様のご支援が、今、必要です

▶詳細・ご協力はこちら



by japanheart | 2017-11-01 17:28 | 医者の本音