ジャパンハート総医療局 構想
派閥主義から個人単位へ、という流れと封建制度的な要素を持っている集団の弱体化は同じ流れの中にある。
白い巨塔のイメージに代表される従来の「医局」は、どんなに仕組みをいじり大学側が抵抗しようとしても、かつての栄光は戻ることはないと断言できる。
なぜならば、それらは世の中すべての流れの中で起こっている出来事であり、医師を取り巻く環境だけが独立して存在しているわけではないからだ。
あらゆる前近代的な思想や仕組みはそのスピードはともかく、崩壊していく途上にある。
早く身をひるがえし、変革を行ったものは生き残る可能性が高い。
無理やりにある種の強制力によって変革させられたものは、想像以上に悲惨な結果になる可能性もまた高い。
約10年前に始まった研修制度の変革とともに、大学医局に入る人の数は減少の一途をたどっている。
数こそ力でやってきた医局だから、数の減少はすなわち力の減少を意味する。
新研修制度の始まる前、H15 大学に入局する医学部卒業生はや70%強だった。
(ちなみに私が卒業した頃は95%といわれた。)
今は反転し、4割くらいしか大学に入局しなくなっている。
10年間入局医師数が減り続ければ、たとえはじめ100人医師がいても、半分くらいにはなってしまうだろう。
すなわち、半分の力になってしまうということだ。
なぜそうなるか?
厚生省のせいではない。
時代の要請だというのが私の見解だ。
単純に、大学にそんなに医師を抱えないで、先端医療と研究機関・教育機関としての立場をしっかり確保すればいいのにと思うが。
いい研究、いい教育をすれば、若い医者はいくらでも学びにくると思う。
それをしないで医師ばかり集めていても仕方ない。
時代は、派閥主義から個人単位に、時代がすごいスピードで動く。
個人でいいと思った場所へ、人が移動していく。
偉い教授の命令で動く時代はもう終わりかもしれない。
そんな時代に、私は新しい仕組みを提唱する。
それは個人がある方針のなかで、緩やかにつながった仕組みだ。
そこに強制は無い。
あるのは、参加する個人の自由意志だ。
その大きな方針とは、”社会貢献”という意思の輪だ。
この輪の中に入りたい人々が自由に出入りできるそんな仕組みだ。
医師だけでなく、看護師も、その他の医療者も、医療にかかわるものであれば誰でもその輪に入ることができる。
それぞれが、名前・職業・専門・卒業年月日とメールアドレスを登録する。
それぞれの職種に合わせてジャパンハートが、情報を提供する。
たとえば、海外の緊急救援の医師や看護師を募集するときは、このアドレスに直接、メールが飛び込んでくる。
たとえば、離島で産休に入った看護師の代わりに1ヶ月間の離島病院からの要請があれば、看護師のみにメールで募集がくる。
あるいは、短期ボランティアの海外医療情報やスタツアなどの情報も、その最適な職種ごとにメールで連絡が入る。
医師に看護師に関係する、あるいはその逆の情報が来ることはしない。
希望者は、それに応えればいい。
こちらからの強制は一切ない。
登録自体には、費用も一切発生しない。
登録にはデメリットはないようにしてある。
こうして、海外・国内で社会貢献をしたい医療者が精神的に所属する仕組みを
ジャパンハート総医療局
と呼称する。
近い将来、この登録をできるようにしていきたい。
海外医療、国内地域・僻地医療、緊急救援活動は医療者ならばもう誰もが当たり前にしていい時代だ。
新しい仕組みを日本の中でどんどんつくっていく。
20代と30代の世代が活躍できないような仕組みやあり方には魅力を感じない。
緊急救援だって、どこの組織も上のほうから、おじさんおばさんに占拠されている。
これではいけない。
世界で戦っていけない。
この時代遅れの日本の医療界に、若い世代が活躍できる組織を、一気につくっていく。