建前大事なミャンマー
2012年 06月 22日
ミャンマーっていう国は、本当に建前が大事。
建前が大事ということは、ある意味、中身は二の次。
ミャンマーという国は、決して他の国のように遅れていないので海外青年協力隊は受け入れません、てな感じでやってきた。
手術をするためには、あの機械がいる、あの設備がいる、あの薬もいる、麻酔医もあの専門医も必要だと当たり前のように言ってくる。
しかし、現実は知っての通り、あの機械もなければ設備も不十分、ましてや専門医の数などかなり少ないのだ。
だから聞いている私たちや現地人スタッフも何ともいえない気分になることが多い。
そのような厳しい現実の中で、多くのミャンマー人医師たちがこの国の地方でがんばっている。
逆に、それが尊いとすら思う。
そう言えば、こういう経験もある。
この国では、破傷風のトキソイドをすべての手術患者に打つ。
この菌は土中に存在し、主に傷から入って感染を起こす。
日本では錆びた釘を踏んだり、砂遊びしてなることがある。
そのため、外傷のある人には安全のためにこのトキソイドを打つことが多い。
ところが、ミャンマーではすべての手術患者に打つ。
なぜか??
危ないから、という。
ミャンマーは建前が大事。
患者の安全のために、医師たちはしかるべき?医療行為をしている。
しかし、私は基本的に破傷風のトキソイドは打たない。
だって、手術する機械は、滅菌しているから。
だって、患者たちは別に土に汚染されている訳でもないから。
そして私は田舎道を普通に裸足やスリッパで歩いている多くのミャンマー人たちをみて思うんだ。
おいおい、みんな裸足で歩いてるんじゃない。
ミャンマーの医者に見つかったら、注射打たれるぞ!
病院の前の土の道を裸足で歩く子どもたち。
それを見ても、当たり前の光景として何も感じない、言わない医療者たち。
しかし、建前が大事なミャンマー。
医療行為を行うとなれば、医者らしい行為をはじめる。
そう言えば、この前、首都で保健大臣や副大臣と会ったときに大臣が私に言った。
「この国では、子どもの心臓外科などの特別な専門家が不足している。ぜひ、あなた方力を貸してほしい。」
その発言には、建前はなく真摯で謙虚さがあった。
だから、これからその協力をしていくことにした。