手術結果
2011年 03月 04日
断じて、言うが、私は自分が手術が上手いと思ったことは一度もない。
多分、普通の医者よりは多くの手術をこなしてはいるが、それはそれで上手いということとは少し違う。
まさに、頭から足の先までできうる限り、何でもこなす。
産婦人科でも、小児でも、整形外科や時に、脳外科の範疇でもやれるだけはやる。
ここでできなければ、貧しい人たちはもう行くところがない。
諦めるしかない。
だから、ここは最後の砦。
いのちの砦。
人生の質の最後の保証場所。
勇気を持って突き進んできた。
時には、いろいろな人たちにも誹謗されたりしたこともある。
まあ、どっちでも良いことだが。
現地で、子どもの「鎖肛」という、いわゆる生まれつきに肛門がない腸閉塞という病気を何回も手術をしてきた。
ところが、なかなか上手くいかなかった。
日本では、そこそこかな?と思っていたが結果が良くなかったのだ。
いつも罪の意識を感じながら、自分の技量のなさを嘆いていた。
今年に入って、恩師の青山先生率いる小児外科チームが、カンボジア-ミャンマーとまたいで子どもたちの手術を行うためにやってきた。
かなりハードなスケヂュールこなしながら、ミャンマーではこの「鎖肛」という病気を何例も手術して帰ってくれた。私なんかより、この人たちにやってもらった方がよほど、幸運だから。
いつもの私のように、手術自体は、うまくいった。
ところが、やった結果がやはり、私のようになってしまう。
結果が付いてこない。
彼らも結果を聞いて、困惑する。
日本では全部上手くいくのに、なぜだ??
なぜ、こうなるのだと、、、。
そして、わかったことがある。
それに今まで私も気づかなかった。
その正解は、何と術後に使う抗生物質の質の差だった。
現地では、中国製かインド製の薬がメイン。
日本では日本製。
この質の差が、こんな結果の差を生み出していたとは、気づかなかった。
術後、ひどい感染を起こし、みんな傷が開いたり、糸が外れたりする。
そのために、結果が悪かったのだ。
自分のやっていることが、それでようやく相対化された。
ここを改善すれば、結果が付いてくる可能性がある。
これから、子どもたちにもっと良い医療をできるという可能性に、幸せを感じる。