やってみるか、甲状腺ガンーその1
2010年 09月 16日
先日、カンボジアから日本に来た13歳の甲状腺ガンの女の子。
現地では、これは治療できないと、一番レベルの高いといわれている子どもの病院で追い返された。
それから腫瘍は少しずつ大きくなって、今では肺に転移をしている。
せめて、治療が無理なら、いい思い出だけでも持っていてほしいと、今回の旅行を企画した。
新日本製薬という会社の協力で、本当に彼らは幸せそうに旅行でき、14日、全ての行程を無事終え、カンボジアの帰国の途についた。
帰る前の日、この子の母親が、娘がこんなに笑ったり、うれしそうにしている姿をみれてうれしい。
最近は、首の腫瘍のことを気にして、笑わなくなっていた、と語っていた。
私は、たとえば、チェルノブイリの原発事故だとか、イラクの劣化ウラン弾だとかいう事態の場合、このようなガンが多発する状況下では、治療をするための用意を進めていくことが正しい。しかし今回はそうではなく、自然発生した甲状腺ガンで、その数は決して多くはない。だから、かける費用とリスクに比べて効果はあまり大きくはない。だからこそ、治療できないのなら、せめて思い出の旅行の企画をするのだと理屈っぽく思っていた。
まあ、理屈的には、間違ってはいないと思う。
今まで、多くのガンの子を日本で受け持ってきて、その治療の長さと大変さは身にしみているから。
それに、日本で治療するとして、何度も往復しながら、費用をかけるとすると、とてもそれをやる気にはならないのだ。一体、全ての治療を日本でするとなると、何千万?かかるのだろうか?費用は、治療費だけにとどまらない。通訳や日本人スタッフの付き添いなど、結構、馬鹿にならない。
子どもには気の毒だが、仕方ないと思っていた。
そう、そう思おうとしていた。