本当のことを書く
2010年 05月 29日
辛いことだけど,本当のことを書きたい。
医療は現実を見ないで通り過ぎ過ぎることができないから。
顔の腫瘍の13歳の男の子は,多分もう持たない。
腫瘍は大きく成長し、皮膚を突き破り、両足はパンパンに腫れている。
胸にも水かたまり、肺や胸膜に腫瘍が転移しているのだろう。
荒木看護師に毎日傷の消毒に彼の家まで行ってもらっている。
本当は僕が行けばいいのかもしれないが、、、。僕には勇気がいることだ。
もうほとんど立てなくなったその体で、看護師たちが帰るときに必ず玄関まで見送りに来てくれるそうである。
昨日も帰り際に子どもにもらったマンゴが届けられた。
医師ではなく、同じ子どもを持つ一人の人間として、本当に耐え難いことだ。
西洋医学は、悲しい学問だ。
勝てる範囲が大体、決まっている。
そして今回は、多分、、、負ける。
たとえ体が動かなくなっても、脳が死んでも、必ず魂で感じているに違いない。
そこに親がいてくれることを。
そこに、誰かの暖かいこころが注がれていることを。
だから、完全に死ぬまで私たちは寄り添いたい。
彼がそれを望むかどうかはわからないが、そうしたいのだ。






