黙々として
2010年 04月 26日
研修医の頃、毎日忙しく働かなければならなかった。決してよくできた研修医ではなかった。まあしかしごたぶんに漏れず拘束時間だけは長かったように思う。
春に病院に就職し、気がつけば秋だった。病院からの帰りの夜道、肌寒くて息を吐きながら空を見上げたら,星がきれいだった。もう秋なんだとふと感じたのが、
数ヶ月ぶりに季節を感じることだった。
なぜか昼も夜もずっと一生懸命に働くことは人としての義務のような気がしていた。たとえ何日休みを取っていなくても病院からの帰りの夜道に
工事現場で働く人を見れば、こんな夜中でも黙々と働く人たちが本当に立派に見え、自分がだめな人間に思えた。何となく罪の意識すら感じていた。
今でもこうして日本にいて家族と過ごしていると何となく、世間に申し訳なく感じてしまうことがある。
多くの人たちががんばっている姿を見たときに,ふとそう感じるのだ。
まだまだ一流にはなれていないのだと思う。
結局、誰かと自分を比べてしまっている。
自分は自分の人生のスタイルを通せばいいだけだと言い聞かせる。
他人の能力を羨んだり,他人の境遇を羨んだりしているうちは、まだまだなのだと思う。
人間に生まれたからには,ゴリラの力を求めない。鳥のような跳躍を求めない。
私という人間に生まれたからには、だれかのような能力を求めない。
私にはどんな本性があるのだろう?
今は黙々として,自己を見つめる。