あの子のこと
2010年 04月 24日
ひとり気になる子どもがいる。
手術を何回かしたが、結局上手くいかなかった、悪性腫瘍の子どものこと。
この国では、悪性腫瘍はたいていの場合、助からない。
抗がん剤等の治療を受けるための知識もなければ、金もないという状況があるからだ。
その子どもはその腫瘍を手術で全て取りきることすらできなかった。
その後、腫瘍はどんどん大きくなっており多分近い将来、死ぬ。
年齢は13歳。
もうすぐ死を迎えるこの子と家族、特に母親のために何かを残したい。
母親は、この子ががんで、もう治療を何もできないのだと説明したあとも何度も病院にやって来て、何がしかの薬をもらってゆく。
痛みのコントロールもままならない。
母親というのは、こういうものなのかもしれない。その行動が痛々しい。
先進国日本で子どもを痛めつけている親の話をよく聞くが、何が先進なのか?現地の母親たちに対して完全に文明力は劣っている母親が多いと思う。
今度、現地でジャパンハートのスタッフがこの家族と共に、最初で最後の思い出の旅行を企画する。
おそらく行き場所は敬虔な仏教徒の彼らが最も望むであろうミャンマー仏教の聖地バガン。
現地でお坊さんたちに、この子と家族のためにお経をあげてもらおう。
生まれ変わりを信じる彼らのために、元気ないのちとして再び転生できるよう、祈ってもらおう。
この母親が、この子とことを思い出したとき、いつもその記憶がよみがえり、少しは心救われるように。
残り少ないこの子の人生の中で、少しでもいい思い出ができますように。