嫉妬
2009年 10月 03日
ミャンマーを知る上でどうしても、知っておきたいキーワードが2つある。
ひとつは”アナレ”という言葉。これはまた機会があれば説明したい。
そして、もうひとつが”ジェラシー(嫉妬)”という言葉。
95年からことあるごとにミャンマー人から、発せられる言葉。
いろいろ事がうまく進まず、どうして彼らはそう考えるのだ?と私が聞けば
それは”ジェラシー”ですと答える。
なぜミャンマー人のある人は、あのような邪魔をわざわざするのだと聞けば、やはり
それは”ジェラシー”ですと答える。
ことあるごとに、この、それは”ジェラシー”ですというフレーズが聞こえてくる。
私たち日本人には到底意味不明で、支離滅裂なマイナスの言動が彼らにある場合はその多くがこの
それは”ジェラシー”ですという感情でミャンマー人にはしっくり来るらしい。
私たちの活動は、それは”ジェラシー”ですというミャンマー人独特のそれとどううまく折り合いをつけていくかに多くの時間と労力を奪われる。
本当に様々なレベルでこれは蔓延する。
ある日、病院の電気屋が自分の知り合いを連れてきた。多くの患者を差し置いてすぐに手術してほしいという。 が、予定が立て込んでいて、ほかの人と同じように1月後に手術予定に入れる。
間違いなく、その日から宿舎は、1週間程度の停電になる。
ある時、何日も不休で患者たちを手術、治療する。患者たちには大変感謝され皆スタッフも満足している。ところが、病院側から突然、手術中止の勧告がなされる。
日本から来た若い医者に、訓練をさせている。あるいはミャンマー人を実験台に練習している。
と内外の現地の医者が普段にない、いい連携を見せて言いがかりをつけてやってくる。
まあ、こんなことがずっと続くのだ。
こんな意味不明の言動は、日本人には回路がないので彼らのその思考過程がうまく理解できない。
そこで私たちのミャンマー人スタッフに、どういう風に脳が動いたらそういう風になるのだと私が尋ねる。
すると現地人スタッフの答えの始まりは必ず、それは”ジェラシー”です、と帰ってくる。
手術がうまいんじゃ?と恐怖して嫉妬する。日本の医療が進んでいると知っていて、なんとなく恐怖して嫉妬する。お願いを聞いてもらえないと、他人に比べて軽く見られていると恐怖して嫉妬する。
これを理解するには10年はかかる。
これも慣習や風俗の一部だと認識すまでに。
自分たちでは気づかないが、日本人にも日本人独特の嫉妬がある。
こういう感情をうまく使えば、国すら支配できる可能性がある。
歴史を少し覗けば、そう思えてならない。
他人を見て大いに自己を省みなければ。