ジャパンハートの代表。1995年より国際協力医療活動をはじめ、ミャンマー・カンボジアなどで、これまで1万人以上の子どもたちに手術を行ってきた。


by japanheart
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建前大事なミャンマー

建前大事なミャンマー

 ミャンマーっていう国は、本当に建前が大事。
 建前が大事ということは、ある意味、中身は二の次。

 ミャンマーという国は、決して他の国のように遅れていないので海外青年協力隊は受け入れません、てな感じでやってきた。

 手術をするためには、あの機械がいる、あの設備がいる、あの薬もいる、麻酔医もあの専門医も必要だと当たり前のように言ってくる。
 
 しかし、現実は知っての通り、あの機械もなければ設備も不十分、ましてや専門医の数などかなり少ないのだ。
 だから聞いている私たちや現地人スタッフも何ともいえない気分になることが多い。

 そのような厳しい現実の中で、多くのミャンマー人医師たちがこの国の地方でがんばっている。
 逆に、それが尊いとすら思う。

 そう言えば、こういう経験もある。
 この国では、破傷風のトキソイドをすべての手術患者に打つ。
 この菌は土中に存在し、主に傷から入って感染を起こす。
 日本では錆びた釘を踏んだり、砂遊びしてなることがある。
 そのため、外傷のある人には安全のためにこのトキソイドを打つことが多い。

 ところが、ミャンマーではすべての手術患者に打つ。
 なぜか??
 危ないから、という。
 ミャンマーは建前が大事。
 患者の安全のために、医師たちはしかるべき?医療行為をしている。
 
 しかし、私は基本的に破傷風のトキソイドは打たない。
 だって、手術する機械は、滅菌しているから。
 だって、患者たちは別に土に汚染されている訳でもないから。

 そして私は田舎道を普通に裸足やスリッパで歩いている多くのミャンマー人たちをみて思うんだ。
 おいおい、みんな裸足で歩いてるんじゃない。
 ミャンマーの医者に見つかったら、注射打たれるぞ!

 病院の前の土の道を裸足で歩く子どもたち。
 それを見ても、当たり前の光景として何も感じない、言わない医療者たち。

 しかし、建前が大事なミャンマー。
 医療行為を行うとなれば、医者らしい行為をはじめる。


 そう言えば、この前、首都で保健大臣や副大臣と会ったときに大臣が私に言った。
 「この国では、子どもの心臓外科などの特別な専門家が不足している。ぜひ、あなた方力を貸してほしい。」
 その発言には、建前はなく真摯で謙虚さがあった。

 だから、これからその協力をしていくことにした。
 
 
by japanheart | 2012-06-22 09:37 | 活動記録 | Comments(0)
スタディツアーのお知らせ

 ミャンマーが外国に向かって本格的に開き、前は外国人立ち入り禁止だった私の活動地にも
                「外国人歓迎します!」
 の立て看板が立った。

 そこで、日本の皆さんに私たちの医療活動を本格的にみてもらおうとスタディーツアーを企画した。

 1) 学生・一般人が参加できるツアー

 2) 看護師のみが参加できる特別ツアー

 
 1)のツアーはカンボジア-ミャンマーの2カ国をまたぐ。私がほぼ毎日、ディスカッションに参加します。

   ① プノンペンでは、ポルポトの時代の遺物を巡り、平和について、人材の連続性の大切さをディスカッションする。

   ②そしてカンボジアの医療活動にボランティアとして参加。3日間医療活動を側面から支えてもらう。
     夜は毎日、命についてのディスカッション。

   ③ そして、ミャンマーへ。ヤンゴンの子ども保護施設「ドリームトレイン」を訪問し、貧困やHIVの問題、人身売買の問題について、ディスカッション。

   ④ もちろん近い将来、世界遺産になるだろうミャンマーのシェイダゴン・パゴダを訪問。日本が第2次世界大戦で進軍したミャンマー。戦争についても考えます。
 


  2)のツアーは看護師限定。

  ① どっぷり、ミャンマーで国際医療協力活動を見学。現在働いている日本人看護師たちと交流会を毎日開催。どんどん、質問し、生の声を聞いてみて下さい。

  ②ミャンマー最大のプライベート病院を見学。

  ③ヤンゴンの子ども保護施設「ドリームトレイン」を訪問し、貧困やHIVの問題、人身売買の問題について考えます。

  ④そして、ちょっと私の講演も入っています。


 実際に現場に行き、自分の目と耳で知る。肌で感じる。
 この夏、多くの人の参加を待ってます。

 マジで、人生変わるかも、、、。

 詳しくは、以下参照。

 1)学生・一般人が参加できるツアー

 2)看護師のみが参加できる特別ツアー
 
by japanheart | 2012-06-18 23:19 | 活動記録 | Comments(0)

死と隣り合わせの医療

死と隣り合わせの医療

 先日、手術中に子どもが死にかけた。
 麻酔薬を打ち込んだ後、呼吸が停止。
 
 慌ててマスクとバッグで換気する。もちろん私が術者だったが、わざわざ手術を中断して自ら呼吸換気を行った。
 数十秒後、一旦、呼吸が安定し、若い医師たちにバトンタッチ。
 
 替わって3分、再び呼吸が悪化。
 手術に戻っていたが、再び呼吸換気をする羽目に。
 しかし、今度は換気が上手くいかない。
 酸素濃度がどんどん低下する、緊急的に気管にチューブ挿管しようとするが、ここでトラブル発生。
 気温が高いため、プラスチックのような素材でできているチューブはフニャフニャになり、すぐに折れ曲がり、
 気管に入っていかない。どんどん酸素が低下し、とうとうゼロに。
 
 死ぬかもしれない!というこころココエを消しながら、再び気を取り直して、挿管を試みる。
 ところが今度は気管の入り口の声門が閉まり、完全に気道が閉塞した。
 マジで死ぬ!ココロの声が大きくなる。
 
 いきなり術野にあったメスを握りしめ私は、子どもの喉をかききった。
 吹き出す血を、よそに気管に向かってどんどん進む。
 子どもの酸素はゼロを指したままになって一体、どのくらいたつのだろうか?
 1分、2分??
 気管に直接糸をかけ、引っ張り上げる。そこにメスで穴を開けた。大量の血液混じりの唾液が吹き出す。
 そこに気管切開用のチューブを挿入。
 一気に呼吸が再会する。
 みるみる子どもの顔色が良くなってゆく。
 この間、約3分。
 しかし、長く感じた時間だった。

 助かったかも?またココロの声がする。
 マジで死んだと思った!少し安心したココロがつぶやく。
 
 再び術野に戻り、手術を再開する。
 さらにスピードアップして手術を終わる。

 術後、発熱はあったが子どもはしっかり意識を取り戻し、元気にしていた。

 昨日、日本に帰っている私に連絡が。
 本日、無事、子どもが退院しました、と。

 医療をやっていると、こんな経験は何度かする。
 特に、私のいる場所はこの数が多い。

 そのたびに、私は医者を辞めたくなる。
 
 人間は愚かな生き物か、昔のことはすぐに忘れる。
 忘れてまた同じ過ちをする。

 こんな恐ろしい物語を、何度も多くの医療者に言って聞かせるが、皆ふんふんと聞いている。
 多分、分かってないな、と思いながらそれでも話す。

 人間は自分で経験するしかない。
 
 しかし、このような経験が多く過ぎると、何だかトラウマにもなってくれない。

 それでも医者を続けてゆく。

 医者とはかくも因果な商売。
 
 何で医者になってしまったのだろう?かとココロの声がする。
 

 
 
 
by japanheart | 2012-06-13 10:52 | 活動記録 | Comments(3)

医療者を目指す

医療者を目指す

 医療者を目指している人が私の周りにはとても多い。
 そして挫折して別の道に進む人も多い。
 
 挫折したからっといって、何でも自分を責めてはいけない。
 
 私は最近は、何でも不完全な状態が自然な状態、すなわち釣り合った(平衡)状態だと思っている。
 私のいう不完全な状態というのは、たとえば鉛筆で円を描くと始めと終わりは同じ点になっているが、完全な円でなく、少しゆがみを持った状態。あるいは、鉛筆の線が最初と最後で微妙にずれているような状態を指している。

 この状態は、ある目的を達するのだがきわめて不完全に達した状態、あるいはぎりぎり達することができなかった状態のようなものだ。

 だから、挫折は挫折でも、ぎりぎり合格に届かないという形を作れればきわめて自然な状態で、この挫折は多くの合格者と人生の成果としては変わらない。なぜならば多くの合格者は、ほとんど合否のボーダーライン上に並ぶというのだから。
 そして、この時の挫折体験は、必要以上に自分を責めなければ、私の経験からは極めてプラスの効果を人生に対して与えることになる。それは合格した人の何倍にもなるだろう。

 この機会を上手く利用できた幼少期に劣等生だった者が、大成するのはこのためだろうと思う。
 このプラスの挫折体験は、その時に蒔かれた人生の甘い果実の種だから、この経験を大切にしなければならない。
 自分が、受験に失敗すれば、まず自分は人より能力に欠けると自覚する。
 (運良く、その自覚を持つことができる。)
そうすればこそ人よりも努力もする、時間も大切にする、人に対してももっと気遣いを持つように心がける。

 その後の人生、すべてこの感受性で人生いきていくことになる。
 だから大きく人生が変わっていく。

 どんな道にいこうが、何を目指そうが、一度決心したら、結果はともかく、いずれにしろぎりぎりまでいききる必要はある。
 決心が鈍いと、ぎりぎりまでは行けないから、決心だけはしっかりした方が良い。

 医学部に合格するとか、医者になるとか、まあそれは人生の一部の成果でしかない。
 人生の成果は、80年の寿命なら80年で出すのだから、そのように考えて目先の結果を位置づけた方が良い。

 どうせ人生は飛躍の前には一度沈むことが多いので、失敗にいちいち落ち込まないで、次を楽しみにしておいた方が賢明だと思う。

 あとは自分の人生との約束。
 もしあなたが幼い頃に、たとえば貧しい人や途上国の人のために医師や看護師になろうと、思って医師や看護師になったのならば、本当にそうすること。
 あれこれいい訳をして、やめたりしないことだ。
 
 もしそうしなかったら、あなたは純粋な幼い子どもをだまし、ひとりの子どもの夢を壊したことになる。
 しかも、夢を壊されたその可哀想な子どもとは、あなた自身のことだ。
 あの純粋で優しかった幼き日のあなた自身だ。
 なんと罪深いことだろう。

 自分自身との約束を果たすというのは、それくらいに大きな出来事なんだ。
 
by japanheart | 2012-06-03 04:55 | 活動記録 | Comments(2)