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ジャパンハートの代表。1995年より国際協力医療活動をはじめ、ミャンマー・カンボジアなどで、これまで1万人以上の子どもたちに手術を行ってきた。


by japanheart
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患者搬送に悩むーその4

患者搬送に悩むー4

 そして、結末を迎える。

 おそらく家族は、安井先生の考えと自分たちの考えが、かみ合わないことを理解していたのだろう。
 どうしても、なんとしても、医学的な意味、現実の厳しさなどという、理屈は飛び越え、精神的な世界観の中にいたのだろう。
 
 日本への搬送を諦めたのか、父親のコネを使いミャンマー国際航空で無理やり、タイのバンコクに搬送してしまった。

 今はどうなっているかはわからない。

 医学は、所詮、人間が使う業。
 理屈どうりには行かない。

 医は仁術とは、やはり心と身体を共に掌握することが必要のようだ。

 この辺は、若い先生たちより、私のほうが一日の長があったようだ。
 なぜなら家族は、私の予想どうりに動いたからだ。
by japanheart | 2008-11-28 01:27 | 病と人間 | Comments(1)

患者搬送に悩むーその3

患者搬送に悩むー3

それで、、、

 安井先生は、患者のことを考えて、おそらく渡航をやめ、ミャンマー国内で治療を続けてゆくように説得したと思う。

 別の場所にいた神白先生も、ほぼ安井先生と同じく、渡航には反対であったようだ。
 医学的にも患者のためにはならないわけだから。

 もうひとりの医師、大村先生は、家族が全ての手配を独自に整えるならば、搬送に協力してもいいと考えていたようだ。

 それぞれの立場で、考えが違う。
 ここからは医者としての哲学の問題で、それを押しとうす覚悟があるかどうかにかかっている。

 私は実際どう考えたか?
 私は、極めて搬送には、この命を懸けた親のための精神的な搬送に好意的であった。

 なぜか?

 おそらくこのまだ若い22歳の女性の患者は、意識が回復する、身体が元のように動くようになることは不可能のように思えた。人の命は、自分ひとりのものではないという、考えが私の根本にはある。人は多くの縁起の中で、互いに影響し、影響され、助けられ、助けながら存在している。彼女の命を、独立したひとつの命とみるか、自分を含む多くの命のひとつとしてに成り立っているか、どちらを自分の医師としての哲学として持っているかにかかっている。
どちらも間違ってはいない。

 彼女を診に行ったとき、彼女の父親が、22歳の彼女の顔を覗き込み、おでこが触れ合うような距離で、思いっきりの笑顔で微笑んだ。当然、彼女は無反応だったが(心では反応していたかもしれない)。
 そのとき、彼女はこの家族の一部だと思った。
 生も死もこの家族と共にあると思った。

 だからこの搬送で、たとえ死を迎えることがあってもいいような気がした。
 今の場所にいることで、ある程度の確率で、元に戻るなら私も搬送に反対したと思う。
 おそらく近い将来、かなり厳しい状態が予想される彼女の人生という、条件下の結論だった。

 私の中で、彼女の人生に、時間軸を未来に向けて引いてみたのだ。

 悲しいが、現実を受け入れたときに、家族が選択するこの行動の意味もまた理解したいと思った。


 そして、、、。
by japanheart | 2008-11-27 01:27 | 病と人間 | Comments(0)

患者搬送に悩むーその2

患者搬送に悩むー2

 しかし、、

 家族の思いは真剣だった。それはそうかもしれない、たった一人の娘、まだ22歳。
 だめでもいいから、今の状態を適切に診断してもらうだけでもいいから、日本に搬送してやってほしいと懇願していた。
 いくつかの問題があった。

 まず、1)日本までの搬送で、命は大丈夫か? 2)こんな状態の患者を、航空会社は乗せることを許可するのか?3)治療費や診断のための金銭的な問題はないのか?もっと根本的には4)医学的にメリットはあるのか?すなわち、それで患者がよくなる可能性が高いのかということだ。
それ以外ににも、ビザの問題や付き添いの問題、さまざまある。

ここまでの状況の中で、それでも私は前向きに検討したいと思っていた。
しかし、私には時間がなく、日本へ帰国せねばならず、この後の交渉を含めた調整を、安井先生に任せた。

 翌日、再び彼女を安井先生は診て、同じように医学的にはほとんどメリットはないという結論だったようだ。また彼が日本の、専門家にもメールで相談したようで、結論は大同小異というところだったようだ。

 それで、、、、
by japanheart | 2008-11-26 00:50 | 病と人間 | Comments(0)

患者搬送に悩むーその1

患者搬送に悩む-1

 ある男性が、サガインの病院に私を訪ねてきた。
 ヤンゴンにいる娘が、瀕死で病院にいるということだった。
 娘は、SLEという難病で、今はどういうわけか、ほとんど意識もなく、寝たきりになっているらしい。意識もあまりはっきりしないようだ。

 この父親は娘を、最後の頼みとして国外に連れ出したいということのようだ。
 日本には、妻の弟、すなわち娘のおじさんとこの娘の実の兄がいるようだ。
 時を同じくして、日本の事務局のほうに、この兄から連絡があり、是非、妹を助けてほしいと電話もかかってきていたようだ。

 日本に一時帰国する前の数時間に、この子をお見舞いする形で、診に行った。
 状態は、、、、、。
 悲しいかな、もっと前に相談があったならという状態であった。
 意識は、なんとか目の前の状況がわかっているかどうか?というところ。
 ほとんど体は麻痺しているようだが、少しは口から流動物か何かは食べれて入るようだ。

 カルテには、現地の医師が既に SLE: End Stage(末期)
と記載している。

 
by japanheart | 2008-11-25 23:46 | 病と人間 | Comments(0)

講演会内容

講演会内容

 最近、名古屋で2件の講演会を行なった。
 両方とも、たち見が出るほど多くの人を集めて頂き、関係各位には本当に感謝したい。

 私は実は、あまり講演会は、何度もしたくない。
 できれば1月3回から4回程度が理想的だ。
 
 前にも書いたが、同じ内容を繰り返してやるのも苦手。自分で飽きているような内容は、たとえどんな理由があっても言霊をこめて話せないからだ。
 
 あと、私の講演会に聴きに来る人の中には、ミャンマーでの実際の医療事情を見聞きしたい人がいるかもしれないが、これは実は最近はほとんど具体的には私は話していない。
むしりこういう内容は、看護師さんとか若い医師の人たちがやってくれっている。
 
 そりゃ、語れば多く、中身もあるかもしれないが、私の苦労話のようになって、自分で何が伝えたいかわからなくなるからだ。
 むしろその経験を通して、私の中に生まれ出でたエッセンスを紹介したいと思っている。
 それは決して、現地の人々の病気の状況ではないのだ。

 若い世代がこれから、日本で世界で活躍するときの何か、ヒントになればいいものを話して行きたいのだ。
それなりの年齢の人たちとは、いのちについて考えを共有したいのだ。社会的使命について、心をひとつにしたいのだ。

 どうせ私と同じ人生などないわけだから、いいとこ取りをしてもらいたいと思う。
by japanheart | 2008-11-18 01:38 | 講演会 | Comments(0)

テレビについて

テレビ

 ようやく遅れに遅れていたNHK放送分の撮影が終わった。
 どんなかたちに出来上がるかは、デレクターの腕前しだい。
 あとはプロヂューサーがどれくらい賢いかにかかっている。
 両者のお手並み拝見。

 内容は今までの撮影の中で一番、様々な出来事があったのではないかと思う。

 NHKの教育 ETV特集 おそらく来年の1月放送になると思います。
by japanheart | 2008-11-17 01:40 | リンク集 | Comments(0)

もてもてらしい

もてもてらしい

 医師の安井先生は、噂によると、もてもてらしい。
 ぶっきらぼうにものを言うので、そんな男がいいのかなと私は思うが、女心はむずかしい。

 仕事はよくできて、決断も早い。大村先生とは一味違った味がある。大村先生もモテルらしい。特に現地人に。

 ここしばらく安井先生がどうしてもてるかを、密かに観察してみた。

 かなりなマメ男だと、わかった。
 思った以上に、言葉とは裏腹に、かなり人をよく観察し、ちゃんと面倒を見ている。

 こういうところは心憎い。

 しかし、安井先生も大村先生も自分では、かなりいい男で、モテモテだと思っているらしい。
 こういう男たちは、一度痛い目にあったほうがいい。
 人生は、そんなに甘くないことを、なぜだか思い知らせてやりたいと思ってしまう。
by japanheart | 2008-11-14 00:53 | スタッフと想い | Comments(0)

勝てないこと

勝てないと思うこと

 これも先日の夜の病院での話。

 夜病院から帰るとき、確か12時頃、大村先生が、病棟の地べたに座り、その前に患者の女性数人が座り、なにやら真剣な面持ちで、ミャンマー語で話し込んでいた。

何を話していたかはわからないが、こんなことは私にはできないと思った。
あの患者たちの顔は、本当に何かを訴えたい顔だと思った。
それを大村先生も聞いている。
人として聞いている。


医師の顔しか持たない私には、到底できないと思う。
by japanheart | 2008-11-13 00:46 | スタッフと想い | Comments(0)

心痛く

心痛く

 今、サガインの活動地には、おそらく麻酔のアレルギーによって子供が意識がいまだに回復しないままに毎日スタッフが対応している。

 すりつぶした食事を作り、手足をリハビリさせ、できうる限りみながんばってくれている。

 ある日、私はあまり行かない夜の病院へ行って、そのこの部屋をのぞいてみた。蚊よけの蚊帳が張られ、その中で眠る子供。その横のベンチの上でこの子の母親は深い睡眠についている。
 その部屋から、声が聞こえてくる。
 そのこの枕元に腰かけ、私たちのミャンマー人スタッフの男性が、お経を上げていた。
 敬虔な仏教徒である彼らは、いつも心の仏教があり、苦しいとき、悲しいとき、何かを願うとき、必ずお経を上げている。

 子供の回復を祈り、彼は毎日、みなが仕事を終えた後、夜遅くに子供の枕元でお経を上げてくれていた。
  
 私が心痛くなる。
 もう少し、医者としての能力に長け、いち早く子供の異常を発見していたら、誰も苦しませはしなかったのにと、本当に思う。

 枕元に子供が元気だったころの笑っている子供の写真がある。
 
私は医者として、もう十分に悲しみを背負いすぎた感がある。
何人分の医者の、悲しみを背負ってきたのだろうか?

 たくましく動く、日本の若い医師たちがうらやましい。

  
by japanheart | 2008-11-12 00:44 | いのちの重み | Comments(0)

11月講演会

11月講演会

 11月は講演会を3回おこないます。
 名古屋が2回、和歌山が1回。

 一般の方が参加できるのは
11月14日(金)13;30から
 名古屋国際センター第一会議室
 問い合わせ 09048648718

 です。


  
by japanheart | 2008-11-04 03:06 | 講演会 | Comments(0)