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ジャパンハートの代表。1995年より国際協力医療活動をはじめ、ミャンマー・カンボジアなどで、これまで1万人以上の子どもたちに手術を行ってきた。


by japanheart
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患者たちのこと

患者たちのこと

 時々、ふと思い出す患者たちの顔がある。

 私は自分であまり写真を撮りはしないが、スタッフの人たちは写真好きが多く、皆写真をよく撮っている。もちろん病気の写真もあるが、患者たちとの交流を撮っているものも多い。

 うまくいかなかった患者、うまくいった患者、転院していった患者、さまざま写っている。

 自分ではあまり過去の患者のことを気に留めないようにしている。
 うまくいかなかった患者のことを思い出したくはないからだと思う。
 どれも悲しい記憶として残っている。

 ここである子供が死んだり、傷ついたりする。
 日本に帰って、自分の子供たちと戯れているとき、ふとその子供たちのことを思いだす。
 自分だけ、子供とこのような時間を過ごしていることに、なんだか罪の意識すら感じる。
 自分の子供に向かって、心の中で、
 「お前の父親は、どうも医者には向いていないらしい。また、うまく助けられなかったよ。」と呟いている。
 そして最後に、いつも助けられなかったり、うまくいかなかったりした子供たちと、目の前にいる自分の子供の両方に、
 「ごめんね」

 と呟いてしまう。

 何年も医者をやってきて、ようやく医者らしくなってきたと思ったら、
いろんな悲しみが見えてきて、やっはり医者は自分には無理かなとふと感じてしまう。

 でもここで辞めたら、死んでいった子供たちに申し訳ないから、また、重い体を引きずりながら、前に進んで行きたい。
 
 
 
by japanheart | 2008-10-30 03:48 | 医者の本音 | Comments(0)

境界線を極める

境界線を極める

 現地では様々な手術や治療を行なわなければならない。
 もちろん、日本みたいにはいかない。

 私は子どもが専門にやってきたが、成人だって、老齢期の人だって診なければならない。
 手術も子どもだけではなく、大人の手術のほうが数は多いのだ。

 時に、形成外科、整形外科、耳鼻科、泌尿器科、産婦人科、皮膚科、乳腺外科、などなどできうる限り、対応しようと心がけている。不十分なのは自分でもわかっている。
 しかし、おそらく多くの患者たちは、ここで治療を受けることができなければ、治療そのものを受ける機会を失う。それは私にもよくわかっている。

 私の元へ来るための交通費だけで、手持ちのお金のほとんどを使ってしまう人たちもいる。

 自分の能力やエネルギーにも限界がある。
 どこまでやるか、どこでやめるか。

 境界線は限りなく曖昧だが、それを見極めなければならない。

 どうしようもないこともあるのだと、いつも自分を慰めている。

 でも、私も人なり。

 寂しく肩を落とし帰って行った多くの患者や家族のうしろ姿は、心に突き刺さった棘のように、今でも私を苦しめるのだ。
 
by japanheart | 2008-10-22 23:05 | 活動記録 | Comments(0)

成熟させる

成熟させる

 先日研修に参加した看護師の人が送ってくれた感想文にこんなことが書いてあった。

『 一人のスタッフがこのようなことを話してくれました。「わたしは日本のほかの企業や団体の人とも仕事をしてきたけど、こんなに日本人の素晴らしさを感じることはなかったです。ここで働いている日本人はみんなミャンマー人のことを考えて、ミャンマー人のために一生懸命働いてくれています。だから私はここで一緒に働けて幸せです。」と。』

 最近いろいろあったが、本当にありがたいと思った。

 ともに働くミャンマー人たちにこう思ってもらったら、方向性は間違っていないような気がする。
by japanheart | 2008-10-19 23:40 | スタッフと想い | Comments(1)

責任を取るということ

責任を取るということ

 人には責任を取るということができないでいる人が多い。
 
 自覚できない、自覚したくない。
 忘れる。
 転嫁する。

 どれも惨めなものだと思う。


 ある患者が死ぬ。
 最後の引き金は何かわからないが、その一部にでも自分が関われば、それは全て自分のせいかもしれないと自覚しなければならない。
 もしその過程に、自分の行為がなければ、おそらくその時間、そのタイミングで患者の死は、起こりはしない。
 すなわち自分の行為も、患者の死の”縁”となっている。

 当然自分の代わりに誰かが同じことをしても、同じ結果にはならない。
それが縁起というものだ。

 だから患者の死の責任は、全て自分のせいと言い換えることもできる。
 そう考えてもいいのだ。

 そんなことを言っていたら何もできないが、そう考える、そう受け止める勇気はいる。
 
 今いるスタッフ、やめていったスタッフの多くは、悲しい現地での患者の死を経験しているはずだ。
 防げる可能性のあった死である。

 しかし、その患者たちの運命は、もうどうしょうもないのだ。死は固定されている。
 せめて、ほかの現地の人たちのためにその経験を生かし、何かをなし続けるしかない。
 それが唯一、その死に報いる方法だと思う。

 しかし現実はどうだ?

 辞めていった人たちはどうだ?
 自分が、自分がと、そればかりではないか。
 今いる人たちもどうだ?
 自分のことばかりではないか?

 自分の人生すら、上手くコントロールできないのに、どうして組織や他人を自分の思いどうりにできようか。

 自分が、自分が言う前に、あの亡くなっていった患者たちへの責任はどうなった?

 少しくらいつらくても、苦しくてもその人たちのためにがんばり続けることが、責任の果たし方ということではないのか?

 責任など自覚せず、自分が関わった患者の死もひとつの過去の出来事にして、他人のせいにしている人たちには、何を言っても無駄なのだろう。


責任も取れない人が、それすら自覚できない人が、他人を批判したり、吟味したりすることはばかげている。
責任のとり方も知らない人に、いい人生など高嶺の花だ。

人生もまた然り。
責任に見合った報酬が与えられる。





 


 
by japanheart | 2008-10-14 01:53 | 基本 | Comments(6)

成長する組織

成長する組織

 この1年近く、組織にも大きな嵐が吹き荒れていた。
 
 ある看護師が、先日のミーティングの後で、楽しかったと言っていた。こんなミーティングは本当にどれくらいぶりだろうと。
今は皆が、前を向いて進みだした。

 この長き停滞の後に、大きく成長することは、私にはよくわかっていた。
しかし、こんなに大変だとは、思っていなかった。

 この数ヶ月で、いい悪いは別にして、ジャパンハートは殻を一枚脱ぎ捨てた。

 ある看護師が私にこんなことを言った。
 この数ヶ月で何人かの人が去ってゆきました。どうなるのでしょうか?

 要は光を見るか暗闇を見るかだと思う。
 
 私は、自信を持ってこう言ったのだ。
 一体、何を心配しているのか。この組織は、時代に支えられている。時代という波に、きれいに乗っている。だからつぶれないし、成長を続ける。

 何人かの人たちが去った??

 今年と来年、この組織で働く人の数は多くなっているのか、減っているのか?

 どう考えても、大きく増えている。
 成長している。

 光を見なければならない。
 状況が厳しいほど、闇が暗いほど星は明るさを増すのだ。
 
by japanheart | 2008-10-13 01:17 | スタッフと想い | Comments(0)

精神論を排す

精神論を排す

 私は私なりに、日本人のいいところも悪いところも自覚し、とにかく「竹やりで戦闘機を落とす」類の精神主義は、極力排してやってゆきたいと考えていた。

 根性は大切だが、それだけでは最後は破滅することは歴史が証明している。

 だが、結局、組織の中に、精神主義を蔓延らしてしまった。

 多分、私が大いに心のそこではそれを持っていたからであろう。

 自分では、とても理路整然と考え、行動していると思っていたが、結果がそうでなかった事を証明している。

 システムを造る必要がある。

 システムをうまく構築できれば、根性はスパイスのように上手く効果を発揮する。

 多くの日本の組織がうまく造れないでいる人を動かすシステム、素質も経験も違う人たちが、皆、一定のレベルになれるシステム。

これを、上手く構築できない大きな原因は、厄介なことに、私の愛してやまないこの国の、働くことは価値があること、努力することは美しいこと、という考え方だと思う。

 大体、システムは効率論のなせる業だ。怠け者ほどいいシステムを生み出す。

 しかし、日本人にあった、新しい形を生み出してみようと思う。
by japanheart | 2008-10-12 01:05 | 随想 | Comments(0)

ゆっくり確実に

ゆっくり確実に

 今回の手術ミッションは、慎重に確実にことを進めた。

 60件ほどの手術を完了した。
 今までは、ただがむしゃらに皆がやってきた。
 それでなんとなくうまくくぐり抜けてきた。

 でも、あらゆる状況が裏目に出たとき、もう調整がきかなくなることを、身をもって体験した。
 われわれの仕事は、直接、人の命に通じている。
 
 失敗は本来、許されない。

 敗走した軍勢よろしく、全てが後退し続ける。

 今回、私自身が大きく成長しなければならない、数ヶ月だった。
 それは、身をもって、数から質への自身の医療概念の転換を迫られる出来事だった。

 初めてメスを握った緊張感を持って、ゆっくり確実に自身の新生を確かめながら、手術を行なったのだ。
by japanheart | 2008-10-10 00:57 | 活動記録 | Comments(0)

今日の話

今日の話

 この国には悲しい現実がある。

 私の団体の現地人スタッフと今日話をしていた。

 彼女はいま、孤児たちを個人のお金で支援している。

 国境の貧しい女の子たちは、タイにお金で買われ行く。

 一人10000バーツ(300ドル)ほどだそうだ。


 幼くして売られ、エイズになって捨てられる。
 スタッフが会ったのは17歳と15歳の少女が幼い頃、タイに売られ、やがてエイズになり、ミャンマー側の端のふもとに捨てられいたそうだ。

 このようなことがないようにと、微力ながら、実力も省みず、新たに挑戦することにした。

 このような売られてゆきそうな幼い少女たちを、学校に通うわせる。
 長年引き取り、できる限り、看護師をはじめとして、収入の糧となる職をつけるために、学校に通わせてゆく。

 家族にも支援を続けなければならないだろう。

 そうしなければ、また次の子どもが売られてゆく。

 数十年前の日本の姿がそこにある。

 この活動を通じて、数十年前の日本も癒してゆきたい。
by japanheart | 2008-10-01 02:07 | 子どものこと | Comments(1)