ジャパンハートの代表。1995年より国際協力医療活動をはじめ、ミャンマー・カンボジアなどで、これまで1万人以上の子どもたちに手術を行ってきた。


by japanheart
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カテゴリ:いのちの重み( 37 )

葛藤

葛藤

人は誰でも、いつもの激しい日常の後半、必ず体が疲れてくると、様々な面で自我が強く表に出てくる。
人には厳しくなり、自分には一切の客観的視点を向けず。

おそらく私も例外ではなく、どうしても患者達に向かう心や意識が薄くなっている。
目が行き届かなくなり、ミスを犯す。
目の届く範囲に患者の数を絞り込み、やっていくことも出来るが、どうしても向こうのペースに巻き込まれ、気が付いたときにはいつも病院は溢れ返り、手術は予定数をはるかに超えて身動きが取れなくなっている。

どこで線を引くかという問題があるが、理屈と感情に上手く線引きが出来ないでいる。

今日夜、帰宅路の坂道を上がりながら、患者にもっと親切にしなければと、ふと反省した。

一方、ここにはとても悲しい命の灯火の患者達も来るが、いつも人の苦しみは他人には背負えないのだとかんじている。
by japanheart | 2007-03-04 01:28 | いのちの重み | Comments(2)

子供の死

子供の死
昨日1人の子供が亡くなった。原因ははっきり分からないが、おろらく蚊が媒介するテング熱という病気から、出血を起こしなくなってしまった。ここに治療を求めて来て約20時間というあっけないものだった。
いつものことだが、父親や母親のすがるような目が心苦しかった。
たった20時間だったが、何度も助かるのではないかと思った。おそらく私自身でそう信じたかったのだと思う。結果が悪かった時、いつも敗北者のような、心境になる。たとえ初めからダメだとわかっていても、そのような心境になってしまうことには変わりない。
私自身は生は死の一部だと捕らえていても、周りの人たちの心にひきずれれる。
生死は、その人の運命だといつも思っている。他人が動かせるものではないような気もする。日本人なら少なからず分かってもらえるかもしれないが。
それでも、不遜な言い方だが、この悲しむ家族のためにこの少年を助けたかった。

この子が死ぬ1時間前この子の10歳くらいの兄が突然大きな声で泣き出した。
そのとき、私はこの子は死んでしまうと感じた。子供は感受性が高い。何かを感じ取ったのかもしれないとふと思ったのだ。

分かったような気になっていても、子供の死は、いつも悲しい。
相変わらず私は弱い人間なのだ。
by japanheart | 2006-09-19 11:59 | いのちの重み | Comments(0)

熱発の少女

原因を確かめる

6日間高い発熱が続いた少女がやって来た。衰弱していた。
症状は熱以外に全くなし。かすかにお腹が痛むらしい。

一体何の熱なのか?

超音波をしてみる。
かすかに腹水が溜まっている。
肝臓や腎臓やすい臓は問題ない。
胆嚢に薄い砂のような胆砂が確認できる。
十二指腸がかすかにむくんでいる。潰瘍はないようだ。

お腹のレントゲンを撮る。
大きな情報はない。腸閉塞もない。超音波の所見と同じだ。

ココの血液検査は全く当てにならないので、しても仕方ないからしない。

これだけの所見から色々な病気を想像してみる。
そこで思考は止まる。

あとは私の経験が頼りになる。
この土地の病気を知っていることと、日本も含め15年間、子どもを診てきた経験だけが頼りだ。

病気を定め、1つの薬を選択した。
4日後、熱はゆっくり下がり始める。
6日後、完全に解熱した。

来たときは衰弱し、全く動かなかった子どもが元気に点滴をされながらでも座っている。

一体、何の熱だったのか、答は永遠の霧の中だ。

たった一つの事実。そして答。
 この子の命は助かった。

それ以外、何も分からない。
by japanheart | 2006-07-05 22:26 | いのちの重み | Comments(2)

奇跡の星

奇跡の星
このブログで何度か先日報告した胆道の結石の女児が今日朝退院して行きました。
昨日夜、病院を歩いていると遠くから大きな声で挨拶する声が聞こえました。
振り返るとこの子と母親がこちらを向いて笑っていました。
遠くから簡単に返事をして立ち去りました。

この子は奇跡の星のもとに生まれているのだなと思います。
あのタイミングでここに来なければ。あのタイミングで麻酔の機械が来なければ。
様々なタイミングが揃って起こった奇跡なのだと思います。

全てのことは必然かもしれない。私はそう信じていますが、大きな流れの中で、私もこの子も、ここのスタッフも皆が流されそして動かされ、この子が今日帰っていきました。
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by japanheart | 2006-03-25 19:51 | いのちの重み | Comments(0)

子供の命の重さーその後

子供の命の重さーその後

この子供はその後、、、。
この子供はその後、手術で縫った胆管がうまくつかず、サイド手術をし縫い直しました。
また、傷口にひどい感染を起こしていました。
私はその2度目の手術の翌日、日本へ様々な予定を抱いて出発いたしました。
そして、現地からの報告では今は、元気になってご飯を取り、家族も含めみな安心しているようです。

人の命をたった一人でも救うというのは実に大変なことなのだと思いました。
そんなに普通の人間が人の命を簡単に救えるはずが無い。
いつも、もっと自分の実力を知り、謙虚になれと天の声がします。
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  お腹に入ったたくさんの管
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  すこし元気を取り戻した子供と母親
by japanheart | 2006-03-11 07:36 | いのちの重み | Comments(0)

子どもの命

子どもの命ーその重さ

日本にいる若い世代の人たちには、きっとこう信じて疑わないことだろう。
人の命は平等だ
しかし、私は断言する。

そんなことはありえない。

人の命は神仏の前では、平等ではあっても、我々人間の世界では平等に扱われることは困難なのだ。

今日今から、肝臓の下の胆汁が流れる総胆管というところに大きな結石が詰まって苦しんでいる12歳子供の手術をします。毎日、激痛に耐えています。
このままほっておけば、膵炎や感染を起こして、或いは肝硬変で亡くなります。

私たちには人手が不足しており、或いは医療機器の不十分さも手伝い大きな麻酔を必要とする手術が難しい状況にあります。

私は無理して手術は出来ないこともないが、やはり十分な設備を持ったところでやったほうがいいと考え悩んだ末、このこの両親にそのようにしてはどうかと伝えました。
しかし、そのためには最低でも日本円で3万円の費用が要ります。恐らく5万円や7万円はかかるのだろうと思います。それがはっきり分かっているからこの子も両親も私のところにたずねてきたのだということです。
ここに来る多くの人たちが、そうであることを今更ながら、改めてそうなのだと思い知らされます。
そんなお金はこの家族にはどこをどう叩いても出せないのです。このまま座して死を待つか、私たちに運命を預けるかどちらかなのです。

私は両親に次のようにいいました。
「ここで手術をすれば命のリスクは高くなりますよ」
両親はこう答えました。
「ダメならば、、、、、、諦めるしかない。助かるように頑張ってください」

無いものを数え上げればキリがなし、あるものを数えてみれば片手に余る
私のいつもの口癖です。

 
再び天命が私に下ったのでしょう。

    静かなる河ものほとり 見上げたる 
              異国の山間に 昇る日ノ本


        今から行ってきます。
by japanheart | 2006-02-22 12:52 | いのちの重み | Comments(0)

赤ちゃんの喜び

赤ちゃんの喜び
生後20日程の赤ちゃんが、私のいる病院にやって来ました。上あごから大きな腫瘍が発生し、日に日にそれが大きくなりとうとうミルクが飲めなくなってしまいました。
私はその腫瘍を手術で取り、ようやく充分にミルクを飲めるようになった時の写真です。
残念ながら、この腫瘍は、悪性のもので、時間が経てば再び同じ状態になると思われました。しかし、この腫瘍を倒すための薬は我々には与えられていません。
大きな町の病院に行って、その薬を続けて使ってもらうように家族に話をしました。おそらく、お金の問題で行っていないと思います。むなしい時間でした。話をするほうも無理だと思って話しているし、聞くほうも無理だと思って聞いている。傷が癒えて退院後、この赤ちゃんとは会っていません。おそらく数ヶ月の寿命かもしれません。でもそれでも、それがこの子の寿命なのだと、自分に言い聞かせています。いつからかそのように私は考えるようになりました。
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写真は手術後、おっぱいを飲めるようになったときの写真です。

by japanheart | 2005-10-18 15:54 | いのちの重み | Comments(0)