境界線を極める
2008年 10月 22日
現地では様々な手術や治療を行なわなければならない。
もちろん、日本みたいにはいかない。
私は子どもが専門にやってきたが、成人だって、老齢期の人だって診なければならない。
手術も子どもだけではなく、大人の手術のほうが数は多いのだ。
時に、形成外科、整形外科、耳鼻科、泌尿器科、産婦人科、皮膚科、乳腺外科、などなどできうる限り、対応しようと心がけている。不十分なのは自分でもわかっている。
しかし、おそらく多くの患者たちは、ここで治療を受けることができなければ、治療そのものを受ける機会を失う。それは私にもよくわかっている。
私の元へ来るための交通費だけで、手持ちのお金のほとんどを使ってしまう人たちもいる。
自分の能力やエネルギーにも限界がある。
どこまでやるか、どこでやめるか。
境界線は限りなく曖昧だが、それを見極めなければならない。
どうしようもないこともあるのだと、いつも自分を慰めている。
でも、私も人なり。
寂しく肩を落とし帰って行った多くの患者や家族のうしろ姿は、心に突き刺さった棘のように、今でも私を苦しめるのだ。