特定非営利活動法人ジャパンハート ファウンダー・最高顧問。1995年より国際協力医療活動をはじめ、ミャンマー・カンボジアなどで、これまで1万人以上の子どもたちに手術を行ってきた。


by japanheart
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人生のしわ

人生のしわ

 昔、もう15年ほど前、顔の奇形の子供に手術をしていた。
何度やっても、上手くいかず、自分の力のなさを恨んだ。
 どうすれば上手くいくのだ、と夢の中でも考え続けた。
たった4時間の睡眠時間しか毎日なくても、寝ている自分が、見ている夢の中でまた自分が寝ていて、そして夢を見ている。そこで一生懸命、その子の手術を行っている。ああでもない、こうでもないと苦心していた。
翌朝起きて、その子供の手術を、再び行う。やはり上手くいかない。


 時間が経ち、結果が出て、親の顔が曇る。私の心が曇る。その子の将来も曇る。
 私がもう少し、力があったら、と何度もそう思った。

誰も頼れず、誰も教えてくれない。異国の地で、たった一人だった。

あの子は今どうしているだろう?
いつもかつていたあの町のそばを、車で通り過ぎるとき、あの子供を捜したくなる。見つけ出してもう一度、手術をやらせてもらいたい。

時間は逆には戻せない。
私は誰よりも、多く敗戦を経験している投手のようなものだ。

その昔、日本のプロ野球でもっとも敗戦を喫した投手は、もっとも多く勝利した投手でもあった。
おそらく私も、そうかもしれない。多分、多くの勝利をあげていることだろう。

しかし、いつも思い出すのは負けたときの自分とその患者たちのストーリーなのだ。

もしかしたらこれが価値ある、「人生のしわ」なのかもしれない。
by japanheart | 2008-05-03 00:17 | 子どものこと | Comments(0)