特定非営利活動法人ジャパンハート ファウンダー・最高顧問。1995年より国際協力医療活動をはじめ、ミャンマー・カンボジアなどで、これまで1万人以上の子どもたちに手術を行ってきた。


by japanheart
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忙しく働く医師たち

忙しく働く医師たち

 最近接することの少なかった日本国内で働く医師たちに、少し接する機会が何故か増えている。理由はよくわからないが、以前とはその出会いの状況は違い、学会とか勉強会ではなく、海外であったり、私の講演会、学園祭などの機会が多い。
 彼らはかつての私の姿かもしれないが、客観的に見てみても、皆さんよく働いている。そして皆さんよく疲れている。そして現状に何故か不安と閉塞感を感じている。

 本当によくやっていると思うだけに、気の毒になってくる。
そういえば、今日、以前にのどを割り箸で突いて死んでしまった子供の裁判の判決が出ていた。医師は無罪だそうだ。様々なコメントを読むと、そんなことをさせている親が悪いという人や、医師が気の毒だという人や、様々だったが、私は本当に皆さん気の毒というほかない。
 死んだ子どもも気の毒なら、その医師に大丈夫だと言われて安心していたが、大丈夫ではなくて子供が死んでしまった親も気の毒なら、そんな経験も殆どなく青天の霹靂でそうなってしまって今も憎まれている医師も気の毒なのだ。
 憎しみのエレルギーはすざまじいから、きっとこの子供の親は自分の健康すらも害しているかもしれない。
 
 こんな時私は思う。
 誰か本当に裁判官以外に、お互いの立場を説明調整し、うまくどこかの時点でこの殺し合いのような裁判する前に何とかならなかったのだろうか?
 とても人生経験のある、そして科学的知識もある、きわめて公正な人格者が。

 今のような解決の手段しか日本にないならば、親はどのような結論が出ても、子供を失った悲しみと相手をいつまでも憎む気持ちは収まらないと思う。

 そしてこの忙しく働いていたであろう医師も何かスピード違反のような運の悪い出来事に自分が捕まり、もともとそうなったのは親が割り箸などくわえさせているからだと思ってしまう。

  お互いが自分の非を少しずつ認め合い、せめてこの亡くなってしまった子供の記憶が、これからの子供たちの健康と命に繋がるようにともに動ければ、可愛そうなこの子供の生は、本当に意味のあった生に昇華される様な気がする。

 忙しすぎる医師たちは、この国システムが作り出した存在だと思う。
突き詰めれば、自分たちが生み出しているとも言える。
 
 私たちはもしかしたら、もっと多くの税金を払い、もっと多くの医師をつくるのか、税金を払わず今のままで私たちも医師もこのまま耐えて行くのかという岐路に立たされているのかもしれない。
by japanheart | 2008-02-13 00:44 | 医者の本音 | Comments(0)