ジャパンハートの代表。1995年より国際協力医療活動をはじめ、ミャンマー・カンボジアなどで、これまで1万人以上の子どもたちに手術を行ってきた。


by japanheart
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

子どもひとりの命ーいくらなら払う?

子どもひとりの命ーいくらなら払う?


 アジア各地で医療をしてきて、日本人からするとわずかなお金が払えなくて子どもの命が亡くなってしまった話は枚挙に暇がない。

 かたや日本では心臓移植をするために海外に旅立つ子どももいる。1億円は最低必要だろう。

 私はジャパンハート組織してからすでに10人くらいは日本へ子どもを搬送し治療をしてきた。
 現在も2名の子どもが日本で治療を受けている。

 1名は産経新聞の心臓病専門の基金を利用し、東京女子医大で心疾患の治療を受けている。
 もう一人は首にできた巨大な腫瘍で昨日、手術を20時間もかけて岡山の国立医療センターで受けることができた。

 海外から子どもをひとり連れて来て治療を行うのは決して簡単なことではない。
 1度や2度は出来ても、10度、繰り返すのはなかなかの仕事になる。
 
 手術や治療というのは最後の山場ではあるが、それまでにはさまざまな苦労がある。
 まずは1月以上の期間、医療用語のわかる通訳の手配とその宿泊先の確保、また患者とその家族の搬送、
日本サイドでは、長期間海外の病院という閉鎖的な環境で生活をしなければならない家族や外国人通訳に対するメンタルケアーというフォローも必要になる。

 そしてお金の問題もある。
 
 まともに日本で保険外の治療をしたらあっという間に1000万円くらいは請求される気がする。
 
 初めて日本に患者を連れてきたとき、そのくらいのお金は覚悟をしていた。
 そんなお金を一度に、しかもたったひとりに投入するなどということは、ちょっとどうなの?と多くの人に揶揄された。
 ほかにもたくさんそんな患者がいるでしょ??という感じだった。
 私はそうは考えなかったから日本に連れてきたが、そういう人は1億円もかけて世間から寄付を集めて心臓移植を受けようという日本人のことをいったいどうかんがえるのだろうか?

 まあしかし、航空券代やもろもろの費用はどうしようもないが、治療費か目玉が飛び出るくらいに国立病院機構の岡山医療センターは安くしてくれている。
 だから何度もそこで治療を行えるのだ。
 ありがたい事に。

 わが子であれば、いったいいくら払う?
 親友の子どもだったら?

 私たち医療者は、自分の家族のつもりで患者を診るという心構えがある。
 自分の子どものつもりで治療する。

 ならばいくら払えるのか?
 他人の子どもに、いくら払えるのか?

 人として、医師として、いつもこの理想と現実の間で苦悶することになる。

 現地で医療をやっていてもそれは日常的に当たり前に突きつけられる課題なのだ。

 そういう子どもを現地で治療できるようになると経費はかなり削減されるが、ゼロになるわけでもなく、それでも結構、大きな金額になると思う。治療を現地人の医師がやろうと日本人がやろうと関係ない。日本人の医師たちは無償でやっているのでむしろコストはかかっていない。


 現地人たちで出来るようにと声を大きくして言う人間も多いが、患者から見ると助けてくれれば、別に現地人の医師でなくてもいい。
 しかし、現地人たちだけですべて回ることがそれほどすばらしいことか??
 本当にそれが自立などというのか?
 その考えはおかしくないか?
 私が、現地人たちで回るようになったほうがいいなと考える理由は、単に効率の問題で、それ以上でもそれ以下でもない。不規則な日本人医療者の流れだけでは、医療が安定しないからだ。
 
 世界中で人が入り乱れて、国境をまたぎ、産業界は外国人が無数に外国で働いているが、なぜ医療界は外国人が多く混ざっていたら自立できていないというのだろう?
 大体、今年からアセアン各国は医師免許が統一されどこでも働けるようになる。
 ヨーロッパでもそうじゃないのか?
 そのうち日本もアセアンと免許の統一がなされないと誰が言える?

 だから古い枠組みの考えに汚染されて、簡単に上から目線で自立などということを言わないほうがいい。

  さて、今回連れてきた子は首の腫瘍の13歳の男の子。
 ミャンマーでは2度、組織を調べたが悪性ではなかった。
 だから連れてきて手術をしてもらったが、今回もし日本の検査結果で悪性の所見が出れば、傷が治ればすぐにつれて村に返し、死ぬまで静かに家族で過ごしてもらおうと思う。
  日本の子どもにするように無理な治療はしない。
  
 長年、ミャンマーの人々と付き合ってきて、今はそういう形が一番いい医療だと思っている。
  

興味ある人は以下をのぞいてください。
  頸部腫瘍ミャンマーの男の子「ピョーくん基金」
 
e0046467_12452044.jpg

e0046467_1246029.jpg

 
by japanheart | 2015-03-13 02:17 | 活動記録 | Comments(0)