アジアの中の日本へ
2014年 12月 01日
医療支援をするときにも、災害救援をするときでも、たとえ戦争をするときでさえ地政学上の優位性という概念を欠落させていると、組織の命運を失ってしまう。
アフリカはヨーロッパから近く、南米はアメリカから近い、しかし日本からははるか遠くに位置する地域になる。
だからおそらく日本からアフリカや南米を支援しようとすると、アジアに比べて何倍もの資金を必要とし、成果も思うように残せなくなってしまう。
逆に、ヨーロッパの国々はアフリカを支援しやすく、アメリカは南米を支援しやすい。
緊急支援ですらアジアならば翌日には支援を届けることができるが同じ資金を用意してもアフリカにはどのくらいに日数を必要とし、しかも到達できる援助どのくらいに目減りしてしまうのだろう?
第二次大戦時、真珠湾攻撃を敢行した日本海軍は全く地政学上の常識を無視したものだったと思う。
はじめからサイパンやフィリピンでアメリカ海軍を迎え撃っておけば日本はあんな惨めな結末はなかったと思う。
戦争も支援も距離に比例して兵站は伸びきることになる。
これは現在でもまだまだ変らない現実だと思う。
だからアフリカや南米で支援を行っている組織の苦労は想像に余りあるし、本当にがんばってほしいと思う。
逆に、アジアを拠点に支援をしている私たちは当たり前に、もっと多くの成果を残さなければ努力が足りないということにもなる。
この夏も、秋も、そして冬を迎える今も日本からの医療スタッフはたくさん訪れミャンマーでは医療活動を50人体制で行うことができている。
これがアフリカならば参加人数は10分の1 程度になる可能性が高い。
私の考えでは、日本はやはりアジアでしっかりと成果を残さなければならないのではないかと思う。
日本政府にはされども、アフリカや南米でがんばる日本人たちにもう少しサポートをお願いしたいと思う。
国単位でみれば、アフリカや南米は将来は日本にとっては大切なパートナーになる国々が多くあり、将来の投資になるので。そんなことは政府の人間も分かりきっていると思うけど。
今後も日本の誇りとなるような活動をさらに発展させていきたいと思っている。
僕がやるんじゃなくて、これからもたくさんやって来るであろう日本の次世代の人たちが中心でやってもらいたい。
私もいつまでもこんな激しい生活ができるわけないので、よろしくお願いします。
(日本から参加したボランティア医師・看護師たちと 2014年11月)