医療者って、悪くない
あなたがもし人助けをしたいと思っているのなら、医者や看護師などの医療者はお勧めの職業だ。
私が10歳代は、インターネットもなく、情報もほとんどなく、海外の人々のいのちを助けると意気込んでみても、どこで、何をすればいいのか皆目、見当がつかなかった。
そして何よりも世界が狭くなった。
これだけ航空機が格安で世界を飛ぶ日がやってくるとは。
まことにめでたいことだ。
人がお金を儲けるために混ざれば混ざるほど、戦争も遠くなる。
会社には社訓というものがある。
そこにはどこの会社もたいていは「社会に奉仕する、或いは役に立つ」という趣旨のことが書いてあるが、普通は自分のやっていることが社会にどのように役に立っているのかを自覚するのは難しい。
さまざまな経験を経てきて今は私の立場からは、医者も公務員も工事現場で働く人もさして変わりはしないと自覚できるが、若い世代の人たちにそれを自覚せよといっても無理な話。
自分が作るたった一つの工業製品が、いかに社会の役に立っているといわれても、心の底ではそんな自覚はない。
ゆえに、毎日が怠惰になってしまう人が出てしまうのも分かる気がする。
しかし、人間は社会とのつながりを忘れてしまうとどこにいても、生きがいをなくす。
日本の病院でいのちに向き合う現場でも、「それは私の仕事ではありません」という人が多い。
ジャパンハートの医療現場ではそれは言わないことになっている。
それもこれもすべて自分の仕事なのだと、自覚するようにと教えている。
私の最近の考えでは、自己評価の低い人間は仕事を拒否する傾向が強い。
社会とのつながりの自覚も薄い。
いい医療者になりたければ、誰でもなれる。
志、次第だと思う。
自己評価を高く持ち、社会とのつながりをしっかりと自覚する。
自己評価というのは他人が与えてくれる評価の総和の自覚に他ならないから、しっかり他人のために奉仕する。
そうすれば、たいした技術などなくても自己評価を上げることができるようになる。
医療者は、もっとも簡単に自己評価を与えてくれる職業だ。
人が相手の職業のいいところは、そこにある。
若い頃、幼い頃、どうしても自分の自信が持てない人や、親に否定的に育てられてしまった人、教師にバカにされてすっかり自分が信じれない人、そんな過去のある人は、医療者がお勧めである。
まじめに、一生懸命やれば必ず、自分のことを評価できるようになる。