外国から患者を日本にーその4
2005年 12月 10日
そして今回。
当初この患者の女性は耳鼻科領域の手術になると考えられていましたが、その後の顔面形成・経過状況を含め耳鼻科・形成外科・外科などのどうやら少なくとも2科から3科にまたがりそうだということになり、特に術後の顔面状態をある程度正常に保つことが難しいことから、形成外科が日本での手術受け入れに反対したようです。結果、非常に悲しいことに受け入れは中止となってしまいました。
ひとつの私には医師としての考えがあります。
それは患者を治療する場合、その患者の過去・現在・未来を見て治療していくという考えです。今回の女性の場合、この人はこの病気を患って10年近く、一体どれほどの苦しみと悲しみを味わい、どんな偏見と戦ってきたのか。そしてそれを取り巻く家族たちはどのような想いで生きてきたのか?現在、途上国に生活する人々が最後の希望として日本のような先進国に行くことは、どのくらい大変なことで、人生がかかったことであるのか、そしてもしそれが不可能になったとき、患者にどのような未来が待っているのか?それらを含め、現在の患者の状況を判断してどのような治療をするのか決定していくというのが、私の考えです。
今回の決定が私のこの考え方とどのような治療の選択肢の違いを生んでくるのか次回は考えてみたいともいます。