ジャパンハートの代表。1995年より国際協力医療活動をはじめ、ミャンマー・カンボジアなどで、これまで1万人以上の子どもたちに手術を行ってきた。


by japanheart
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エネルギーの行方

エネルギーの行方

 最近の子どもたちはつかみどころがないとよく言われる。
 先日、中高生向きのスタディーツァーを、ミャンマーでやった。
 この時の子どもたちの感想が、私にはショックだった。

 ここに来た子どもたちは、口々に生きている実感が持てたと語った。
 まだ、15歳前後の子どもたちだ。
 いったい、日本では何が行われているんだろうか?
 
 子どもたちに媚び、個性重視の名の下に、至れり尽くせり。
 結果、子どもたちから生きている実感を奪っているという、由々しき事態になっている。

 ここで整理しておきたいのだが、個性を重視することと、嫌いなことをさせることは決して矛盾することではない。
 いい年になってしまったら、どうせ嫌いなことなどしなくなるのだ。

 だからこそ、若いうちに嫌いなことや苦手なことをさせなければならない。
 これが子どもたちの将来の、土壌の栄養になる。
 根が張らない子どもなど、大きな木に育たない。

 人間には睡眠を除くと、本質的には欲求は2つしかない。
 性欲と食欲だ。
 性欲は、今の日本では著しくコントロールされる。
 ゆえに、子どもたちのエネルギーは、別の経路に流されることになる。
 学業であったり、スポーツであったりと。
 これらが本人の個性にうまく合致してくれていたり、いい指導者にめぐり合ってうまく誘導してもらえればキット、いい人生をイメージして前に進んでいけるし、本人も日々、充実した時間をもてる。
しかし、何もこれといったものが持てなかった子どもたちは迷走する事になる。

 かつては暴走族や夜遊びということになった。
 結局は、教育者を親を中心とした大人たちが、彼らのエネルギーをうまく誘導できなかったせいだ。
 彼らが、そういう世界から抜け出していけるのは、時間がたって、別のエネルギーのはけ口というか、誘導先を見つけるまで待たなければならない。だから、多くは20歳を過ぎたころまで時間が必要なのだ。

 しかし、こういう子どもたちはまだ、エネルギーを保って生きていることになる。
だから、別のエネルギーの回路が開け次第、すぐにうまく社会適応していけることが多い。

 ところが問題は、エネルギーのはけ口を持たなかった子どもが、自らエネルギーレベルをとした場合だ。
 生きているエネルギーレベルを落とすことによって、自己を保持する。
 こういう子どもたちが、引きこもる。
 引きこもれば、時間がたっても、自身でエネルギーレベルを上げない限り、社会復帰などできない。
 そして、このエネルギーレベルを上げるという作業は、大変な作業になる。
 そう簡単に一度、止めたタービンを回転させることは大変なことだ。
 寒い冬に車のエンジンをかけるのと似ている。
 それくらいのエネルギーを逆に初動で必要とする。
 ゆえに、引きこもりはなかなか直らない。

 これらを解決するには、エネルギーをうまく誘導する人間がいる。
 もちろん、仕組みとしてそれが行えれば言うことはない。
 しかし、それにはある程度の情熱と人間的なレベルが必要となる。
 教育とは、まさにそういう作業だ。

 親の子どもへの甘やかしはご法度だし、社会の子どもたちへの迎合はあまりすべきではない。
 傷が深くなる。
 情熱をもち傷つくことを恐れない教育者たちもたくさん必要になる。

 もし、本当に誰もが教育こそ大切だと思っているならば、真剣に子どもたちと向かい合わないと大変なことになる。

 私は、本当に思うのだ。
 こんな大人たちばかりで、本当に子どもたちがかわいそうだと。

 貧しいながらも目が輝いているアジアの子どもたちや、アフリカで少年兵として生きている子どもたち。
 彼らの目のほうが、日本の子どもたちより力があるのだ。
 それは、おそらく、生きていることをしっかり自覚しているからだと思う。
 生きながら子どもたちを殺していては、子どもたちがかわいそ過ぎる。

 
 
by japanheart | 2013-08-19 01:31 | 子どものこと | Comments(0)