がんばったあなたへの感謝
2013年 07月 07日
ラオスのミッションが終わった。
手術はいつもながらの疾患が多かったが、何とか無事に終わってほっとしている。
思えば、ラオスで新規プロジェクトをすると決断してから1年以上がかかった。
看護師のHさんに、その全てをゆだねる形で企画が進められていく。
何かといえば上手くいかない土地柄、思い通りにいくことはほとんどなかったに違いない。
まるで自分の人生のようではないか。
今回のような立ち上げ計画は、多分彼女には向いていなかった。
私がはじめそうであったように、私はミャンマーで新規立ち上げをしたとき日本ではただの医者しかしたことがない自分が何でこんなことをしなければならないのだろうと思っていた。
彼女も多分そう思ったに違いない。ただの看護師なんだと何度も言ったことだろう。
途中で、何度も様々な人とぶつかった。
本当に途中でやめるかもしれないと私も思ったし、辞めた方がいいかもしれないともおもった。
それでも彼女には必要な経験だと私のこころのどこかで思っていた。
彼女はこういう仕事には私以上に向いていない。
それでもだ。
なぜだろう?
彼女の人生にとって今回の経験は、大きな意味を持つと感じている。
きっとかつての私がそうであったように。
多分、彼女が得たものはあまりないと見えるかもしれない。
単に、ラオスを立ち上げ、プロジェクトを行っただけに思えるかもしれない。
しかし、私は思うのだ。
これで彼女は、生涯、自分を自分で信用できるようになった、と。
正に、彼女の人生にまだまだ細いが一本の芯が通った。
これから毎日の葛藤の中で、ますますそれが太くなっていくことだろう。
おめでとう,と言いたい。
苦しんだ人間には、神様はちゃんとご褒美を用意してくれている。
彼女は、根っからの臨床家だから、医療そのものの世界に戻ってくる方がいい。
コーディネートは、他の人に任せればいい。
それが、一番の彼女の居場所になる。
人を見守るという作業は、簡単ではない。
すぐに手を出したくなる。
親になればついついやってしまう。
いつもこれとの葛藤だ。
これでようやく私の満足いく医療者が一人また誕生した。
苦労してすっかりやせ細ってしまった彼女を、褒めてあげて欲しい。
今年も私の元へたくさんやってくる者達も、彼女に続いて欲しい。
容赦はしないが、後悔はさせない。