特定非営利活動法人ジャパンハート ファウンダー・最高顧問。1995年より国際協力医療活動をはじめ、ミャンマー・カンボジアなどで、これまで1万人以上の子どもたちに手術を行ってきた。


by japanheart
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小児医療を考えるーその3

小児医療を考えるーその3

 小児医療を考える。
 さて、この管理者の罷免によって、小児医療はこの市民病院から撤収するということが予想できた。
 しかし、市長はそれを断行する。

 小児外科に関しては、数も少ないし影響はないというコメントだった。
 本当に、そんなことを言っていいのかと思った。
 たとえ一人でも二人でも患者がいるならば、その人たちの面倒を見るのも市民病院の役目ではないのか?
 でなければ、何のための公立病院なのか?

 市長のプライドと院長の怠慢、ついでに言うと多くの市会議員たちの無関心によってこの町の子ども達は見捨てられたのだと感じだ。
 結果的にはそうだろう。

 今でも、何とか週2日ぐらいどこかから派遣してもらってお茶を濁そうとしている。
 いいかげんにしないと、10年後はこの町では小児医療は崩壊する。

 そのとき市長もちろん、院長も退職金をもらってすでに蚊帳の外だ。

 6月中旬、私は市会議員の約半数を前に、講演した。
 今の医師・小児科・医療界を取り巻く現状や広島県の小児医療の状況、医局のみに頼る医師確保の後進性など。
 自分達の手で、しっかりとした市民病院を運営し、若い医者が自らそこで研修したいと応募し、そしてそこに残っていくような魅力ある病院運営をしなければ、崩れ行く大学医局の人事に振り回されながら、一緒に崩壊していくしかなくなってしまう。
確かにお金でやってくる医者もいるだろうが、そういう人はお金でまた去っていく可能性が高い。
何よりも市民のためにずっといいついてはくれないだろう。
だから、しっかり病院運営をして、院長を先頭にみんなが一生懸命に働き、そして若手医師たちをしっかりと呼べる病院にしなければならないと。

 しかし、しかしだ。
 おそらく彼らも動きはしないだろう。
 この町の、子ども達の健康を行政がいい加減に考えていると思う。
 まず守るべきは、それではなかったか?
 例え、成人の科が撤収しても (絶対にそんなことにならなかったと思うが、、、なぜならばすでにこの病院は長い間そこで働いている医師ばかりで、院長もまた、その病院の医師たちからは全く信頼されていないからだ)、小児の医療を守れれば、この時代は、最低限の正義が守られたことにならないか?

 しかし、市長をはじめとする行政は、それを見誤った。
 
 私は、そして静かに言ったのだ。
 「市政は、子どもを見捨てた。私たちはこれにて小児科の派遣を撤収する!」

 ある市会議員が言った。
「それでは、子ども達が困る。ぜひ、派遣を続けてもらいたい。」

 そして私は答える。
「派遣を私達に要請する前に、皆さんはやらねばならないことがあるんではないでしょうか?
 私たちは、近い将来、沈んでいく泥の舟には乗りません。」

 子どもを守れない市長や、行政関係者は退室させるべきだと思う。
 次の選挙まで2年ある。

 その間、きっと、市民病院にまともな小児医療は戻ってこない。 
 すでに、岡山の国立病院の若手の医者達は、この病院での夜間救急からの撤収を宣言した。
 30年以上の長きにわたり、彼らのサポートによって続けてきた尾道市民病院夜間救急小児科が姿を消す。
 一度やめれば、小児科が再興されても、夜間の小児救急の復興は難しいかもしれない。

 尾道の子ども達やその親は気の毒で仕方ない。

 7月から不毛なこの件の裁判が始まる。
 この市長は、医療のことは知らない。
 教師あがりの人間だ。
 
 知らないからこそ、ブレーンを雇ったのに、それを排除すればすでに裸の王様だ。
 誰も幸せにしない決断の誤りは、反省されることもなく、どうでもいい、自分の威厳とちっぽけな力を見せつけただけだ。

 尾道市の子ども達にこころから同情する。
 

 
 
by japanheart | 2013-06-28 08:49 | 活動記録