時代の断層
2013年 04月 14日
やはり本当のライバルがいなくてはならない。
ソ連を失ってからの、アメリカは大変見苦しく、そしてどんどん弱まっている。
それはそれで、日本という国の真の独立にとってはいいことだと思う。
無理やり創り出した「悪の枢軸」や「中国」、「アルカイダ」、「イラク」「イラン」そして「テロ」などという概念は、虚しいだけだ。
悪いあがきにしか見えない。
そんなアメリカ失速時代の、ひとつの断層がまた見える。
TPPへの誘導。
どんなことでもそうかもしれないが、言いだしっぺが一番得をするから、それを口にしたと考えた方がいい。
最初はともかく、今やTPPはアメリカのためにある。
前にも書いたが、良い悪いは別。
良かろうが悪かろうが、やってくるもんはやってくる。
その覚悟と準備はするしかない。
良くも悪しくも、アメリカに逆らって生きていける国は世界にないのも事実だから。
笑い話だが、天変地異の次にどうにもならないのが、今のアメリカという国家で、中国を越えている。
翻って、わが身を振り返る。
そういえば、先日、日本最大の外科医の学会(今回は1万3000人以上が参加したらしい!)、日本外科学会の総会で発表を依頼された。
時代は変わったもんだ。
私が医者になった頃、海外医療したいなどといえば医局から痛い目にあわされた。
そんな奴は、マトモな輩ではないので、取り合うなといわれた。
もちろん日本に帰国後は就職につくことも難しかった。
たった20年で、、。
時代は変わった。
そんなマトモでない人間の話を、皆で集まって聞こうという。
しかも、日本で最も権威ある学会挙げて。
誰もが予想しなかったことだ。私も含めて。
医局制度が弱体化し、医療者が流動し始めた。
大学に属することの最終目的だった安定した良い職場への永久定着は、大学の医局というシステムを経由しなくても、自分で直接、アクセスできるようになったのだ。
さらに、TPPの加盟で保険が歪み、医療が変わっていく。
もしかしたら、外国人の医療者が流れ込んでくるかもしれない。
グローバル企業にとっては、医療者のコストは安ければ安いほうが良い。
まさに、医療界は、幕末の日本と同じ。
封建的な医局制度は権威を失いながら、今も続いている。
医局からの、脱藩が止らない。
佐久間象山や吉田松陰のごとくの時代を別の角度で眺めていた私のような人間の話を皆で聞く始末。
TPPは黒船になる。
こじ開けられる。
医師会も医局も、もう時代の流れには逆らえない。
時代の流れというのはそういうものだ。
10年後、20年後の医師会や医局の姿を、語れるものがどれほどいるか?
先日、開業している同級生達数名と食事をしたら、医師会の会合に出ると高齢化がひどく、真っ白な集団だといっていた。 髪の毛の色の話だ。もう年寄りばかりの集まりになりつつあるということだ。
新陳代謝が上手くいっていない組織や肉体は、朽ち果てる。
これも良い悪いではない。
だからどうするかという、問題だ。
今さら良い悪いを言っているより、準備をすることだ。
幕末から明治に変わったときに、多くの一般人にとってはそれは自分達と関係ないところで起こったことだった。
しかし、だからといって、明治になった後に、江戸時代の価値観のまま生きていくことが許されただろうか?
新しい時代の法律に従わされ、新しい考え方や教育を受け入れさせられたはずだ。
時代の流れというのはそういうものだ。
嫌でも逆らえないのだ。
受け入れるしかない。
だから、それを前提で、どう動けば自分達が最も上手く時代とともに進めるかを考えた方がいい。
私は、TPPなどなくても、医局は、医師会は変わらねばならないと思っていた人間だ。
(別になくなれとはいっていないが)
だから最大限に、この時代の流れを利用させてもらう。
この世から、すぐに「医者」や「医療」が不必要な存在であるわけないのだから、今起こっているのは”システムエラー”なのだと、まずは認識することだと思う。