ミャンマー保健省と正式調印
2012年 12月 20日
今日、昼過ぎからミャンマー保健省と正式調印をする。
ミャンマー新政府になってから、保健省と正式に活動の合意に至った日本の国際NGOはジャパンハートが最初になる。
今回の合意案件は、まずミャンマーに透析を広めること。
あまり知られていないが、ミャンマーは世界で一番、蛇にかまれて人が死ぬ国である。
緊急透析ができれば多くの人が助かる。
人工透析があれば、多くの子供たちにも福音がある。
腎不全=死という公式を、塗り替えることができる。
次に、子供の心臓を手術できる医師を養成すること。
今、ミャンマーでは子供の心奇形を手術できる医師がほとんど存在しない。
だから、生まれてから10歳間生きることができないような子供たちは、全滅する。
もし、ミャンマーに子供の心臓疾患を手術できる医師たちが生まれてくれば、毎年何千人もの子供たちの命が救われていく。
これをやる。
自分が手術しなくても、人を助けることができることはすばらしいことだ。
そう思わないか?
そして、子供の各種専門家、例えば腎臓の専門家、肝臓の専門家なども養成する。
まあ、こういう案件が認められ評価され、合意に至っている。
少し予断だが、興味深い話をしておこう。
この国には、私たちのような医療ではなく、保健(衛生教育や指導など)をするために来ている団体は多い。
このような案件は、かなりのお金を消費する。
保健省の役人があるとき、私たちにこう言った。
「一杯理屈をつけて、たくさんお金を使って、たくさん協力も与えて保健案件をやるという団体がいくつもやってきた。しかし現実はどうだ?何も変わらないじゃないか!あんなの意味ない。」
これが、彼らの本音。
私たちが、医療をやる団体で、保健をやる団体ではないから漏らした本音だったと思う。
自分たちのための援助。現地の人たちのためというよりは、自分たちが存在するための援助。
そうなっている人たち、そうなっている団体が多い。
それはそれでいいが、結果が伴ってこそだ。
結果が出なければ、ほんとに意味なしだ。
だけどもね、少なくとも血眼になってそれをやっている人に私は出会ったことはない。
たとえば、大学でよ、高校で、医師の世界で、いつもトップクラスの頭を持っていなかった人が、机の上だけで色々考えても、すごいアイデアやプランが出てくることはないだろ?普通は。
そんなすごい一流の頭脳でしたか?あなたはと、本気になっていない人には言いたい。
だから泥臭くてもね、現場に赴き、血眼になってやらないと、結果などついてこない。
それは医療も、保健も一緒だ。
そしてそれは、医療だけでなく、どんなビジネスをやっていても、どんな仕事についていても同じ。
基本戦略は同じ。
泥臭く、泥臭く、現場に赴き、現場を知り、現場力を鍛え、必死になって考え、必死になってやる。
それ。
それができた人間が、マネージメントに進むというのが王道だと思う。
この子はね、心臓病でなくなった1歳6ヶ月の男の子なんだ。
生まれてから死ぬまでミルクしか飲めなかった。体重が6kg。それ以上になると、心不全になって呼吸ができなくなるから。
助けたかった、、、。
生きていれば、これから良いことも悪いことも、たくさん経験できたろうに。
このような子供たちとの出会いが、私の背中を押し続けている。