リスクを負って動く
2011年 09月 11日
たくさんの手術を行うのは結構。
病院が人で溢れ、住民たちが喜んでくれるのも結構。
現在の私は現地に長くて10日間ほどしか滞在できない。
日本に帰り、僅か数日、またミャンマーやカンボジアへ向かう。
日本で、講演会だけでなく様々な事柄をこなさなくてはいけない。
手術も後半、追い込みをかけたくさんの数をこなす。
難易度の高いものは主に滞在の前半に行う。
後半はなるべく軽いものをと。
しかし、世の中はそんなに甘くはない。緊急で帰国前日に重症の患者がやってきたり、簡単だと思っていた手術が実はくせもので、大変な手術になったり。
子どもだとなおさらたちが悪い。
ほとんど子どもの外科というのは日本でも数が少ないために、そういう人間たちが常駐して現地で働くことは到底望めない。
帰国しなければならない私は、後ろ髪をかなりの力で引っ張られながら、空港に向かい、現地からのメールが入るたびに、こころが萎む思いをする。
かつて、何人かの人たちの死を報告されたことがある。
私がいれば何とかなった人もいる。
手の施しようがなかった人もいる。
だから後継者を作れとよく言われるが、同じ境遇を引き継いでも仕方ない。
私の後継となるものは、全く新しいコンセプトの元、作り上げていかねばならない。
駅で空港で、街角で、くたびれた同性代以上の男性たちを見ながら、私も同じ顔をして向こうからも見られているのかと思うと、何となく気味が悪い。
どんなに偉くなっても、お金を持っても、そんなくたびれた人間にはなりたくないものだ。
わが子たちを見習って、激しいオン・オフと自分の世界の中に埋没できるわが身を作り出していこうか?