特定非営利活動法人ジャパンハート ファウンダー・最高顧問。1995年より国際協力医療活動をはじめ、ミャンマー・カンボジアなどで、これまで1万人以上の子どもたちに手術を行ってきた。


by japanheart
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リスクを負って動く

リスクを負って動く

 たくさんの手術を行うのは結構。
 病院が人で溢れ、住民たちが喜んでくれるのも結構。

 現在の私は現地に長くて10日間ほどしか滞在できない。
 日本に帰り、僅か数日、またミャンマーやカンボジアへ向かう。

 日本で、講演会だけでなく様々な事柄をこなさなくてはいけない。

 手術も後半、追い込みをかけたくさんの数をこなす。
 難易度の高いものは主に滞在の前半に行う。
 後半はなるべく軽いものをと。

 しかし、世の中はそんなに甘くはない。緊急で帰国前日に重症の患者がやってきたり、簡単だと思っていた手術が実はくせもので、大変な手術になったり。
 子どもだとなおさらたちが悪い。
 ほとんど子どもの外科というのは日本でも数が少ないために、そういう人間たちが常駐して現地で働くことは到底望めない。

 帰国しなければならない私は、後ろ髪をかなりの力で引っ張られながら、空港に向かい、現地からのメールが入るたびに、こころが萎む思いをする。

 かつて、何人かの人たちの死を報告されたことがある。

 私がいれば何とかなった人もいる。
 手の施しようがなかった人もいる。

 だから後継者を作れとよく言われるが、同じ境遇を引き継いでも仕方ない。

 私の後継となるものは、全く新しいコンセプトの元、作り上げていかねばならない。

 駅で空港で、街角で、くたびれた同性代以上の男性たちを見ながら、私も同じ顔をして向こうからも見られているのかと思うと、何となく気味が悪い。

 どんなに偉くなっても、お金を持っても、そんなくたびれた人間にはなりたくないものだ。

 わが子たちを見習って、激しいオン・オフと自分の世界の中に埋没できるわが身を作り出していこうか?

 
by japanheart | 2011-09-11 23:45 | 活動記録