特定非営利活動法人ジャパンハート ファウンダー・最高顧問。1995年より国際協力医療活動をはじめ、ミャンマー・カンボジアなどで、これまで1万人以上の子どもたちに手術を行ってきた。


by japanheart
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

子どもの心のケア―というけれど

子どもの心のケア―というけれど

 今回の災害報道の中で、最近しきりに言われている子どもの”こころのケア”。

 おそらく世間一般が認識しているいわゆる、PTSDやトラウマという用語に対しての理解が、しっかりしていないと大きく迷惑を被る子どもたちが出るに違いないと思っている。

 しかもトラウマの処理というのはとても根気が要る作業であるということ。
 いろいろな人が入れ替わり立ち替わり、中途半端な関わり方をすると反って症状を悪化される可能性も高いのだ。

 でも、今回はやらねがならないのだろう。
 
 実は、昨年、ジャパンハートが数年前のミャンマーの津波でトラウマを背負ってしまった子どもたちにケアをしようとしたとき、アドバイスを求めて専門家たちが共有するメーリングリストに、アドバイスを求めて情報を流した。
 (実は、これが日本人医療チームが海外の外国人災害被害者に対してトラウマ処理をした初めてのことだった。)

 そると、どうだろう。

 多くの専門家が、それはやめたほうがいいというコメントを多くよこし始めた。
 理由は、上記のごとく、中途半端な介入、継続支援の難しさ、専門家たちの交代などの理由を挙げてきたのだ。

 しかし、一部の権威からの、そんなことを言っていたら何もできないからやったほうがいい、しかもジャパンハートはミャンマーでは地盤もあり、文化も慣習も知り尽くしているのだから、という書き込みがあってから、反対意見は鳴りをひそめ建設的意見が舞い込むように変わっていった。


 今回の災害、いろいろな精神ケア―チームが、ころころ人を入れ替えながら入ってきている。
 それって、本当に大丈夫なのかということになるし、中途半端ゆえ、深い介入ができないでいる。

 だから心配している。

 私たちは、気仙沼で、南三陸で、そして石巻で、繰り返し繰り返し、中心メンバーを固定し、深い介入をしてゆく。
 
 治療的なトラウマケアとは、子どもたちと楽しい時間を過ごしたりするのとは少しニュアンスが異なるかもしれない。

 簡単に言うと、悪いトラウマの記憶のイメージに新しく建設的なイメージを張り付ける作業だ。
 脳のシナプスとシナプスを新しくつなぐ作業だともいえるかもしれない。

 専門的なテクニックとリスク管理が要る作業だ。

 小児科・精神科・臨床心理士などと共に、あくまでも医学的な観点から介入してゆきたい。

 
Commented by 12262004 at 2011-05-12 17:22 x
非常に難しいプロセスですが大人への心的外傷ストレス障害治療とはおそらく薬物療法をしないという点が異なるのでしょうか。とすればトークセラピー。自然災害のトラウマには加害者がいない。だから怒りをもっていく場所がわからない。私の体験からその怒りは周りや被災していない人間から言われた一言から異常なほど被害者意識を持つ。私は何度夢の中で人を殺してしまったかわからないほど怒りをためていた。夢なのか現実なのか疑うほどリアルな映像なのだが殺人等とは人間としてもってのほかの行為であることから自分が恐ろしくなり恐怖に襲われる。子供であればなおさらそのような夢を見たと言葉にして伝えられないはずである。子供たちに必要なのは無条件のサポートではないだろうか。そのサポートができるのは意外と身近な人なのかもしれない。親族と限らない。見えない縁。無条件のサポートとは必要なときは必ずそばにいるということを伝え続け被災者の心に留意してもらうことではないかと思う。
Commented by 12262004 (2) at 2011-05-12 17:25 x
「I will always be there for you」私はこの言葉を信じそう言ってくれた上司に今も支えられている。被災後ずっと黙って見守ってくれている。でも私の言えない、癒えない心を誰よりも理解できているように感じる。深い過去世からの因縁だろうか。動物が人の心を感じ取ってしまうのと同じ感覚で黙って寄り添うことからかもしれない。そのうちぽつぽつ被災したときの会話が出てくる時もある。それからがトークセラピーの始まりになりえると思うけれど普段は触れたくないし触れられたくないので無理に話させないでほしい。だからおっしゃる通り治療には何年もかかる。相性が合い高い技術をもち経験豊富なセラピストは申し訳ないが日本におられると思えない。トラウマ専門の経験のある医療者がほとんどいない日本では他人の傷みを自分の傷みとして感じ得る人なら精神科医や臨床心理士でなくても間接的に自然治癒に貢献できるのではないかと思う。原爆投下という形で敗戦した日本人は戦国時代から戦に負ければ正妻は子孫を残すため勝者の妾となる等もともとトラウマのDNAがあるのではないかと思う。
Commented by 12262004 (3) at 2011-05-12 17:27 x
他のどの国の民が持たないほどの辛抱強く我慢強い人種だから注目され絶賛されたのである。だがその長所はトラウマには短所として現れる。とにかく自分だけじゃないとかもっと苦しんでいる人がいるとか、いろいろ理由をつけてつらくても我慢しちゃうしできちゃうのだ。私は米国トラウマの治療受けている患者として少しだけ吉岡先生の力になりたかった。 現地に赴き見なくとも見えてしまう日本の被災地に足を運んだらどんな気持ちになるのだろう。自分さえ支え切れていないのに他人のヘルプになれると思ったことは一切ない。そのようなおこがましい気持ちも持ったこともないし持ちたくない。私のトラウマ治療は過去数年の壮絶な治療を含め現在進行形なのである。私のトラウマと悲しみは大人であるが由、ライフタイムロングの治療だと思っている。日本で権威あるトラウマの医学博士が時間が必ず味方をしてくれますと銘台詞を私に放った。今私のお返事をする。刻は苦しみを抑えることはできても悲しみが癒えることはない。悲しみは時間が経つほど募るのである。
by japanheart | 2011-05-10 23:12 | 活動記録 | Comments(3)