昨日逝った11歳の子ども
2010年 08月 27日
昨日、11歳の女の子が亡くなった。
生まれつき大腸が二重になっており、人工肛門もある。
ここへ辿りついた時、すでに全身はやせこけ、骨と皮だけになっていた。
お腹だけは大きく膨れ上がっていた。
患者の子どもには家族の思いが宿っている。
傲慢かもしれないが、どうしても助けたかった。
一方の腸に大量に溜まった大きなウンコの塊が悪さをしていた。
お腹を開け、手術をするにはあまりにも全身状態が悪すぎた。
だから、栄養剤を入れながら時間を待った。
しかし、間に合わなかった。
昨日、肛門に指を入れた。
この大きな塊が、お尻と膣を切り開けば取れるくらいの場所に位置しているのを、今更ながら分かった。これならばお腹を開けなくても出来る唯一の手術法だった。
こころが、急く。
手術は上手くいった。
成功した。
しかし、遅すぎた。
術前から、不整脈が連発し始め、術後、数時間後に心臓が鼓動を停止した。
スタッフは何時間も格闘していた。
だが、結局は戻らなかった。
私の医術の目が、もう少し研ぎ澄まされていたら、助かったかもしれない。
いつも自分の能力を悔やむ。