患者の死、その後
2010年 08月 05日
患者が死ぬ、ということは医療者ならば何度か経験しなければならないかもしれない。
幼い子どもの死にすら、目を背けることはできないこともある。
患者たちが病と闘う。
長い間、苦しい治療を続け、やがて力尽きてゆく。
私たち医療者は、彼らを励まし、家族と力を合わせ、様々な努力を重ねてゆく。
結果、死が訪れる。
悲しい別れをしたあと、病院を霊柩車が去ってゆく。
その背中を見送ったあと、私たちはまた日常の業務へと戻ってゆく。
少しその死を引きずっている。
そのあと。
そのあとがあることに、私たちは気づかなかった。
そのあと、幼い子どもを失った、あるいは一家の大黒柱を失った家族は、どうなったいるのだろう?
悲しみを一体、いつになったら乗り越えているのだろう?
ご飯を食べれているのだろうか?
毎日、どのような日常が待っているのだろう?
そこに光を当てる視点を持ちたい。
大切なものを失った人間が、ほんの少しだけ、1%でもいい、少しだけ元気になるように、少しだけ早く立ち直れるように、そんな医療を生み出してみたい。
私の目指す、「たとえ死んでもこころ救われる医療」の、救われるべきこころとは、決して患者だけのこころだけではない。