特定非営利活動法人ジャパンハート ファウンダー・最高顧問。1995年より国際協力医療活動をはじめ、ミャンマー・カンボジアなどで、これまで1万人以上の子どもたちに手術を行ってきた。


by japanheart
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この国でも、どこの国でも

この国でも、どこの国でも

 この国では、多くの子どもたちが、日本に比べて亡くなってゆく。あるいは障害を抱えたまま生きてゆかねばならない。

 このような状況だから、子どもを亡くした親も、昔の日本でそうであった様に、それが子どもの運命だったと、自分にも言い聞かせてその死や障害を納得しようとしている。

 でも、たぶん本当のこころの中は違う。と思う。


 今日外来で、水頭症で髄膜瘤の1歳位の子どもが母親に抱っこされていた。

 水頭症の為、頭は普通の子どもの1.5倍ほどに大きくなっている。
 また髄膜瘤(背中の骨が生まれつき割れていてそこから神経の一部が皮膚直下まで出てしまっている病気)のために下半身は麻痺して、生涯たぶん動かない。

 そしてこれは想像だが、たぶんお金が無くて病院にはかかれないでいた。この親だって、この子が普通でないのは分かるから。

 水頭症を治さなければ、どんどん頭は大きくなる。そしてそのうち死ぬだろう。
 この病気には、脳内に溜まった水をお腹の中にチューブで流し、お腹の中で腹膜を通して吸収させる方法を取る。この病気に時々遭遇する私は、何とかこのチューブをこの国で手に入れようとしたが、店は外国人には売ろうとしない。何か起こったときに責任を取るのが恐いのだろう。

 仕方ない。
 私には何も出来ないということだ。


 今日、その子どもを抱く母親に、治療の話をし、その治療ができる現地の病院に行くように言った。
 治療費をこちらで何とかするからと、付け加えた。

 まだ若い母親から止めどもなく、涙が流れ落ちていた。

 この国でも、親は親。
 我が子のいのちは、運命だから、という想いでは割り切れない。

 何年か経って、多分私はこの親子の事は忘れていることだろう。
 しかし、この母親は、多分、日本や日本人のことを大切に思っていてくれるだろう。

 
Commented at 2009-10-18 07:39 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ご活躍を応援しています at 2009-10-18 23:05 x
吉岡先生、はじめてコメントさせていただきます。異国の地で大変ご苦労が多いことと存じます。安易な発想と一蹴されるかも知れませんが、一度、国のトップに会談を申し込まれたらいかがでしょう。ミャンマーの民衆や医者たちが、ジャパンハートとのかかわり方について、上の顔色を見ながら”びくびく”している以上、トップの理解を得ることがもっとも効果的と思われます。日本では政権が変わり、今までは考えられないような様々な政治的な集会に自治体の長が出席し自由な発言をされる場面が散見されるようになって来ました。吉岡先生に力を貸してくれるわが国の有力な政治家もきっといるだろうことを期待します。
by japanheart | 2009-10-17 03:22 | 子どものこと | Comments(2)