リスクを見極めるーその2
2009年 07月 23日
昨日の子どもについて。少し弁明。
実はご指摘のように、高サイトカイン血症は考えていました。
麻酔は、初回の手術も局所麻酔で約20分で終わっています。
こどもも比較的ぐったりしていたので、痛みもなく終わっています。
ですから、麻酔ガスによる悪性高熱等の状態や、挿管による合併症もあまり考慮していませんでした。
初回手術時の薄いヘルニア嚢を通して見られる腸の色は決して悪くなく、今まで、壊死した腸管を何度も見てきた私は問題ないと判断して、腸をおなかの中に戻しました。
(専門外の人には面白い会話でなくてすいません。)
しかし、何か起こってしまっては打つ手立てのないこの場所で、必要以上のリスクを踏んで様子を見るかという判断が必要になります。
日本なら、様々な検査をして何とかアプローチや経過観察をという選択肢を取ったかもしれません。
私のこの地で行うときのたった一つの誓いがあります。
それは、
「患者が来たときよりも、悪くして帰さない」
ということです。
これが私の質の医療です。
もうこれ以上、ひとりも私の前では子どもたちを死なせたくないのです。