リスクを見極める
2009年 07月 22日
こんな状況のなかの医療活動だから、いつも診断機器より、自分の経験と感性を信じている。
昨日、ヘルニアの陥頓(腸などが体の穴ーたとえば筋肉や筋膜などでできた穴ーの間にはまり込むこと)で5日間もたってからやってきた1歳の子どもを緊急で手術した。
手術が上手くいった。
が今日、39度から40度の熱が続く。
腸が破れているのか?
お腹の中へ戻した腸が腐っているのか?
もし破れたり、腐っていたら今日明日にも命が危なくなる。
もう少し様子を見るか?
早めに手術をして確かめ、いざとなったら腸を切り取るか?
子どもは体力的に余裕は無い。
私たちにその状態を確かめることができる機器も無い。
命のリスクを犯して様子を見るか?
?どうする?
心は、少し重たい現実に腰が引けている。
しかし、今から緊急で開腹手術をしよう。
こういうところでは、少し遅れるとそれが命取りになる。
腐っているのか、そうでないのか。
破れているのか、そうでないのか。
私のエネルギーを点に凝集するように、一気にお腹を開け、腸を調べた。
腐ってはいない。
破れてもいない。
子どもは大丈夫だ。
すぐにお腹を閉じる
開腹からわずか15分、閉腹。
局所麻酔と最小量の血管麻酔。
子どもは、お母さんを目で探している。
多分、感染による熱か?
抗生剤でこれから攻める。
2週間後、この子どもが元気に帰る姿を想像する。