ジャパンハートの代表。1995年より国際協力医療活動をはじめ、ミャンマー・カンボジアなどで、これまで1万人以上の子どもたちに手術を行ってきた。


by japanheart
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新著  「死にゆく子どもを救え」 のカバーの絵

新著  「死にゆく子どもを救え」 のカバーの絵

 前回のブログの新著「死にゆく子どもを救え」 のカバーの絵はある写真が元になっている。
 実際の写真は、書籍に中にある。

 その子どものことは今も忘れはしない。
 口腔からの悪性の腫瘍だった。
 まだ生後1年もたっていなかったと思う。

 どんどん大きくなる腫瘍に、やがて口が塞がれ、おっぱいが飲めなくなってしまった。
 あの国の現実を見ると、どうせ死ぬとわかっている。
 わかっているがどうしても、もう一度おっぱいを吸ってもらいたかった。
 医者のわがままだったかもしれない。
 母親の、家族のわがままだったかもしれない。

 手術をして、腫瘍を取った。全部とりきることはやはりできなかった。
 術後、子どもは元気におっぱいを吸っていた。
 母親も満たされていた。

 私は、手術前よりもっと悲しかった。
 できれば私の前には現れないでもらいたかった。
 
 この子は、確実に近い将来死ぬ。
 どうせ、もうすぐ前のようにおっぱいを吸えなくなる。
  
 偶然、看護師がとった写真だった。
 
 その光景は、後光が差したように美しかった。
 

 ピカソの描いたおっぱいを吸う赤ちゃんとその母親の絵がある。
 ベービー・フレンドリー・ホスピタル、すなわち母乳で育てることを積極的に推進中心している病院に対してユニセフが認定してその名前を与えている。
 あの絵は、元気な子どもだったのだろうか?
 もうすぐ死ぬ子どもだったのだろうか?

 冨山房インターナショナルの方が、描いてくれた今回のカバーの絵は、もうすぐ死ぬ子どもだった。
 日本人は、滅びの美しさを知る人々だ。

 今回の書籍のカバーの絵ひとつにも、赤ちゃんの短い人生の物語がある。
 
 
by japanheart | 2009-07-01 16:35 | いのちの重み | Comments(0)